日本政府のワクチン購入契約は「賢い支出」と言えるのか

今月から、日本でもワクチン接種がスタートします。欧米に遅れること2か月。一日も早く、国民全員にワクチン接種が可能になるよう政府に要請します。

その一方で、政府のワクチンの購入がワイズスペンデイング(賢い支出)と言えるかどうかが問題です。

日本政府とファイザーは先月、7200万人、1億4400万回分の接種の最終契約を結んでいます。

1月6日のFDAの承認によりファイザーのワクチンは1瓶で6回接種可能になりましたが、日本が準備した注射器では5回しか接種できないということで問題になっています。

そもそも昨年、ファイザーのワクチンは1瓶で5回の接種でスタートしましたが、米国の現場の薬剤師さんたちの工夫でシリンジと針の組合せを工夫して6回接種可能になりました(ファイザーは35種類の組合せを承認)。

世界がその方向で動いていることが海外メデイアで報道された後も、厚生労働省の担当者が漫然と5回しか接種できない注射器を準備していたことは批判されるべきです。

厚生労働省は3月までに5回しか打てない注射器を2億本準備すると言っていますが、今からでも、6回接種できる注射器を準備すべきです。

英国のガーデイアン紙は「日本政府が効率的な注射針を確保できず、当初の7200万人ではなく6000万人分の量しか確保できなくなった」と報道しています。供給量の確保は大丈夫か心配です。厚生労働大臣は、今、ファイザーと交渉中と言っています。

その他に、追加的な費用が発生しないかについても疑問があります。

日本政府とファイザーが結んだ契約は、欧米と同じく回数で課金するものだと厚生労働大臣に確認しました。

仮に、1回3000円と仮定すると、1瓶で6回打てれば1瓶1万8千円で課金されます。5回なら1万5千円になるはずです。厚生労働大臣は詳しい契約の中身は言えないとしてますが、「本来6回打てるのに、日本の都合で5回しか打てないのだから、1瓶の値段はあくまでも1万8千円だ」とファイザーから言われるおそれもあります。

そうなると、約2割も国民の負担は増えてしまいます。アメリカ政府は効率的な注射器を用意できない場合には1瓶6回ではなく5回として課金することでファイザーと合意したそうです。

厚生労働省には、日本も国民に不利益にならないようにファイザーとしっかり交渉することを要請します。

一方で、「欧米では工夫して1瓶で6回接種しているのに、日本は5回しか接種できずに貴重なワクチンを2割も捨てるひどい国だからワクチンを使う資格はない。」という批判が海外から起こっています。

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言と同じように日本の国益を大きく損ねていることは残念です。

コロナワクチンはい1回だけの接種ですまないかもしれません。英国では、政府高官がすでに、「普通のインフルエンザワクチンのように毎年打たなければならない。」と発言しています。そのことも考えると、一日も早く、欧米並みに1瓶で6回接種できる注射器の購入が望まれます。

厚生労働大臣からは、そのように努力するとの答弁がありました。

(以上、2021年2月15日の衆議院予算委員会での私の質疑を参考に書きました。)

参考:衆議院インターネットTV


編集部より:このブログは衆議院議員、岸本周平氏(和歌山1区、国民民主党)の公式ブログ、2021年2月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は、岸本氏のブログをご覧ください。