昨年7月から検討を重ねた都ファの「罰則付きコロナ条例案」。12月議会での提出を目指しましたが、他会派の賛同を得られずに、提案見送りになっていました。
その後、罰則の議論が国会に移ったことから、「差別の禁止」、「自宅療養者への支援」、「保健所機能の強化」について議論を重ね、条例案文を練り直しました。
特に差別は深刻です。
これまでの東京都のコロナ条例のなかにも、「差別の禁止」をうたった条文はありましたが、具体的な措置が規定されていないため、都民ファーストの会の改正案には、相談体制の整備など具体的な規定を盛り込みました。
差別の禁止
① 都民及び事業者は、患者等、医療従事者、帰国者、外国人その他の新型コロナウイルス感染症に関連する者に対して、り患していること又はり患しているおそれがあることを理由として、不当な差別的取扱いをしてはならない。
② 都は、その防止のための普及啓発活動を行うとともに、その解消のための相談体制を整備するものとする。
③ 都は、国の人権擁護に関する制度等と連携して、実効性ある人権侵害の救済が図られるよう努めるものとする。
さらに、自宅療養中の死亡例が報道され、不安が増大しています。そこで、自宅療養者への支援を盛り込みました。また、外出できない自宅療養者への食料品など支援を都が責任をもって行うことを規定しました。
自宅療養者に対する支援
① 都は、居宅等において療養する患者等に対し、保健所と協力して、必要な生活物資の供給及び健康管理を行うための体制の整備に努めるものとする。
最後に、保健所の機能強化ですが、ここで案外知られていない問題があります。それは、公衆衛生医師の不足です。
公衆衛生医師ってなに?
保健所長や区役所の感染症対策課長をつとめるのが「公衆衛生医師」ですから、保健所における指揮官です。保健所の多忙化で、東京都が職員を派遣しても、この公衆衛生医師が欠けている状態では、海兵隊を送っても、現場に中佐や大佐がいない状況となり、有事対応ができません。
都内の保健所に確認したところ、定員170名の公衆衛生医師に対し、49名も欠員が生じていることがわかり、公衆衛生医師の確保を都に求める条文を盛り込みました。
保健所の機能強化
① 都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況に応じて、必要な公衆衛生医師の確保に努めるものとする。
こうした条例案を、議員提案で草案すると「予算措置で行えば良いのだから、何も条例を作ることはない」との批判をうけることもあります。
しかし、差別の禁止などは、都や都民全体での意識変革を必要とするものなので、都民に代わって議員が審議し、都民に周知し、広く啓発する必要があるのではないでしょうか。また、公衆衛生医師の確保のように、一朝一夕では解決できない課題に対し、条例で規定することは、どんな政治状況でも変化なく取り組むことを宣言することになるので政策に安定性を与えます。
私たち、都民ファーストの会は、行政のチェック機能に加えて、自ら条例をつくるという議員の立法機能の意義を噛み締めながら活動し、こうした活動が、議会改革にもなっていくと信じています。
この改正条例案が、3月議会で他会派の理解を得て成立することを願っています。