黒坂岳央(くろさか たけを)です。
「やらなければいけないことは山積みなのに、イマイチやる気がしない」という人のジレンマに、「行動するためのやる気がない」というものがあるだろう。やる気とは自動車におけるガソリンであり、ガス欠であるが故に動けないという考え方だ。
しかし、実際にはやる気というのは内在するものではないし、天から降ってくるものでもないことが脳科学で明らかになっている。やる気とは行動した「結果として備わる状態」なのだ。
筆者の実体験を元にやる気を考察したい。
行動が先、やる気は後
東京大学薬学部教授の池谷裕二氏はR25の記事の中で「やる気とは、先に行動することでしか生まれない」と主張している。これはつまり、行動が先であり、やる気はその結果として生まれるということだ。そう考えると、「やる気が出ないから動けない」という主張は、論理的に誤りだと言うことになる。「どのようにまず行動するか?」という方法論の模索ことが求められている。
そうはいっても、頭では理解できても、どうしても行動できずに悩みを抱える人は少なくない。どうすれば解決するのだろうか?筆者からの答えは「習慣化」と「システム化」と考える(後述する)
やる気は感情任せではなく、システム化する
筆者はかつては典型的なものぐさであり、部屋を出てトイレに行くのも面倒に感じて、ひたすら我慢をするほどの体たらくであった。やる気が出ることを待ち続け、高卒後から23歳までの5年間もの若き価値ある時間を、ニートとフリーターとしてダラダラ過ごしてしまった。今さら悔いても仕方がないが、この人生経験からも「やる気の降臨を待ち続けても、可能性の扉は開かれない」と実感しているつもりだ。
行動できない壁を打ち破ることができたのは、やる気をシステム化でハックしたことにある。ここからは具体的な方法論を述べていきたい。
脳のオートパイロット化を目指す
やる気任せではなく、システマティックに行動を起こすためには「習慣化」をおすすめしたい。
「いや、それができないから苦労しているのだ」という反論が返ってきそうだが、そもそもものぐさな人に話を聞いてみると、「この取り組みを毎日やろう」という意識が欠落している事が少なくない。「毎日やる。習慣化する」という意識を持つことが、ファーストステップになる。
飛行機は離陸と着陸以外はオートパイロットによって、安定的に飛行していることで知られる。人間もコレと同じく、脳のオートパイロットと呼称すべき能力を備えている。Suicaカードを改札口に通したり、歯を磨いたりといった行動は考え事をしたり、話を聞いている時でも自動的に動ける。これが習慣化の力だ。
筆者が英語の勉強を独学で身につけた時期は、電車の移動中や、職場の休憩時間は英語の勉強タイムと決めていた。電車に乗ることや、職場の休憩時間は平日は毎日同じ時間を過ごす。必然的に習慣化しやすいわけだ。
毎日続けていれば、そのうち習慣化する。習慣化すれば、やる気に関係なくオートパイロットのように体が動く。行動を起こす中で、やる気は結果として降臨するし、続けるから望む成果を得ることができるのだ。
カレンダーの力で自分を動かす
筆者は就寝前に、カレンダーとToDoリストを活用して翌朝から行動するための理由を作るようにしている。現在は会社員ではないため、気持ちを引き締めなければ、いくらでも怠けてしまいかねない。己を律し朝一番から精力的に活動するためにも、この運用に頼っている。やってみて感じたのは、カレンダーやToDoリストを使って自身を動かすことの力の強大さである。
冬場は誰しも起きるのが辛いものだ。本来は早起きして活動をしようと思っていても、脳は寝ぼけながら自分の行動を正当化するために思考する。「睡眠を取らなければ、日中は頭がハッキリしないから」と言い訳を作って、そのまま布団の中で二度寝をしてしまった経験を持つ人はたくさんいるはずだ。だが、あらかじめ予定が決まっていたら何も考えずに起きるしかない。行動しなければ、一日の後続タスクがつぶれてしまう。
また、あえて重要なタスクを朝一番に持ってくることもおすすめしたい。「重要な仕事は終わらせてから出ないと、心配で眠れない」という人もいるが、筆者は真逆こそが良いと感じる。取引先には「明日の午前中に出します」と宣言してできなければ大変なことになってしまう。そうなると、「寒いから二度寝」なんて絶対にできない。重要なタスクを必死にこなした後には、体も頭も温まっているから、次々と他のタスクをこなしていけるという算段だ。
やる気で体を動かすのではなく、カレンダーやToDoリストで自らを動かすのだ。
以上の通り、やる気を出す方法を考えるのではなく、いかに最初の行動を作れるか?の方法論こそが重要となる。走り出してしまえば、後は勝手にやる気が湧いてくるだろう。