東日本大震災から丁度10年が経ちました。地震が起きた時、私は六本木で健康診断を受けていて、丁度心電図の検査をして、当時の目黒の自宅までツイッターで連絡しながら歩いていたことを鮮明に思い出します。
年月とともに東北地方が受けた甚大な被害は忘れられつつあります。
私自身、震災の年から年に数回は東北を訪れていますが、年月とともにやってくる人の数が減り、かつて以上に人気の無い寂しいエリアになっているのを感じています。10年前には芸能人や著名人がこぞって東北に支援に出かけ、その様子が全国で放映されていましたが、その影はありません。
本日の日本経済新聞の記事によれば、この10年で全国で人口減少率が最大だったのは宮城県の女川町と紹介されています。
女川町にも、今まで何回か足を運んだことがありますが、新しい町並みが整備され、表面上は魅力的な場所に生まれ変わったように見えました。
しかし、このまま人口減少が続き、税収が減る中、維持コストだけが重くのしかかれば、いずれ財政に影響するリスクも出てきます。これは女川だけではなく、全国の地方に共通する大きな問題といえます。
東北の他の地域でも、堤防やかさ上げなどのインフラの整備が、費用対効果や将来の利用予測などの検証も充分になされない中、進められているという話も聞きました。
建設会社を潤わせることを目的にしたかのような不必要な公共事業は、それ自体がムダ使いになっているだけでなく、将来に渡って維持運営コストを必要とする「お荷物」になる危険性を持っています。
今までよりも、むしろこれからの方が東日本大震災による影響がジワジワと真綿で首を締めるように出てくるのです。
実は、東日本大震災の記憶が風化していくのは、残念なことであると同時に、必要な事でもあると思っています。なぜなら、人間は時間が経過し、忘れることによって、苦しみや悲しみから少しずつ離れていくことができるからです。
しかし、忘れてはいけないことは、これからもしっかりと心に刻み続けなければなりません。
今年も、またプライベートで東北に行き、細く長いお付き合いを続けるつもりです。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年3月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。