今週のメルマガ前半部の紹介です。朝日新聞社が、福利厚生の一環としてこれまで負担してきた社員の新聞購読料の見直しを検討中との報道がありました。
【参考リンク】朝日新聞が赤字で「社員の購読を自腹化」の衝撃
新聞業というのはとりわけ構造的な不況業種なのでやれることはなんでもやろうというスタンスも理解できますが、Googleがビュッフェ付き社員食堂を無料で運営している話なんかと比べると斜陽感がハンパないですね。
【参考リンク】【豪華ビュッフェ】Googleの社員食堂で食べ放題無料ランチしてきました!
とはいえ、実はこうしたせこいコストカットというのは日本企業の十八番でもあります。いい機会なのでまとめておきましょう。
せこく削るのが日本型
一般的に、日本企業は大胆な事業見直しや整理縮小が大の苦手です。雇用を守らないといけないし賃下げも高いハードルがあるためですね。
そこで賞与や福利厚生費といった手の付けやすいところからちびちび削っていくことになります。一般的なのはタクシーチケットの廃止、残業、出張制限などですね。変わったところでは「廊下の蛍光灯を間引きする」なんて会社もありましたね。
一本数百円の蛍光灯間引いて何がしたいの?と普通は疑問に思うでしょうけど、とりあえず追い込まれた日本企業の管理部門はあらゆるコストをカットしようとするものなんですね。
ではその効果は?当たり前の話ですが、大胆な事業見直しやリソースの集中と違い、経費削っただけで何か新しい付加価値が生まれることはありません。削った分の金額は余裕ができますが、長期的な業績の下降トレンドそのものは不変のままです。
まあ要するに時間稼ぎですね。朝日新聞社は「有料で購読している一般読者の視点に立って朝日新聞の価値を考えるきっかけに」と苦しい言い訳してますが、筆者はこれまで会社に自腹切らされて覚醒→レベルアップしたオジサンに一度も会ったことがありません。
ただし、個人的に感心した部分もあります。それは「社員に自腹で購読させ、代金は会社が給与から天引きする」という仰天プランです。
一応「いやなら会社に申告すれば断れるので強制ではないし、査定の参考にはしない」というのが会社スタンスです。前半はその通りでしょうけど、後半はどうでしょうね(苦笑)
経営側からすれば「社員のうち、誰がやる気があって誰にやる気がないか」がはっきり把握できるわけです。査定や昇進の指標の一つとして利用するなという方が無理だと思いますね。
これ考えた人、相当人事のことがわかってると思いますね。性格も悪いでしょうけど(苦笑)
というわけで、規模的にはよくあるケチケチ作戦の一種なんですが「出世とかもうどうでもいいっすわ」的な社員をあぶりだせる便利なツールを手にした会社が今後どういう手を打ってくるか、といった視点で見れば同社の今後に要注目でしょう。
以降、
自腹購読は格好の踏み絵
経費をケチる前にゴールポストを作れ
※詳細はメルマガにて(夜間飛行)
Q:「午前中だけリモートワークというのはアリでしょうか?」
→A:「現状の枠組みの中で行うならベストでしょう」
Q:「家庭の事情で転勤を断ると人事に影響ってありますか?」
→A:「だいぶ減ってはいるんですが……」
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2021年3月11日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。