ふたり世帯の満足度は最低
夫はずっとテレビばかり見ている。そのため、話しかけても返事しない。その上、細かなことまで口を出してくる。腹が立つ
おひとりさまの男女の満足度はどちらも高いのに、ふたり世帯の男女は両方ともおひとりさまより満足度が低いだけでなく、女性の満足度が男性の満足度よりさらに低いそうです。つまり、「ふたり暮らしは妻のひとり負け」だそうです。
事実、この本に出てくる事例には「あるある」感満載です。私のようなこれから老後をどうしようかと考えるものには、耳が痛いです。
また上野先生は絶対に介護施設に行きたくないそうです。
ゆっくり下り坂をくだっている年寄りを病院にかつぎこむ必要はありません。居室で家族と職員がお看取りをする、よけいな医療的介入はしない、そういう同意書を、入居時に交わす施設もあります。・・・ホンネをいうと、わたしは施設にもデイサービスにも行きたくありません。集団生活がキライだからです。
認知症の専門医が認知症者にはデイケアが大事だと説きながら、いざご自分が認知症になると、デイサービスに出掛けて1日でイヤだ、と思ったという逸話は有名な話ですね。ほんとお医者さんって、言いたい放題だと思います・・・。
上野先生も、デイサービスに行くことを勧めるのは家族の都合で、家にいてほしくないからとおっしゃります。だましたりすかしたりしてデイに行って、行ってみたら居心地がよかった、それから愉しみにしているという人もいることはいるようですが、自分から進んで出かけるわけではないようです。
日本を「収容所列島」にすべきか?
施設はもういらない、というのがわたしの立場です。施設が足りないというけれど、これ以上作らなくてもいい。・・・日本は「収容所列島」になってしまうでしょう。
在宅のほうがよいということはなんとなくわかりましたが、お金の心配があります。看取りのコストは「病院」>「施設」>「在宅」になるそうです。でも現実には、いくらお金がかかっても、老人が家にいてほしくないということでしょうか。
「孤独死して発見される」のが怖い人へ
孤独死したひとびとは、生きているうちから孤立した生を送っています。孤立した生が孤独死を招くので、生きているあいだに孤立していなければ、孤独死を怖れることもありません。女おひとりさまには、怖れる理由は何もないといえます。なぜなら女おひとりさまは、男おひとさまと違って、友人ネットワークを確保しているひとが多いからです。
なんとも、コミュニケーション強者の論理に聞こえますが、私のような男性には厳しい意見です。
これもふしぎでしかたがないのは、主婦は社会人と呼ばれず、会社員は社会人なのに、長年社会人をやってきた男性が身に付けてきた「社会性」って、老後には何の役にも立たないのだろうか、という疑問です。男性がやってきたのは「会社人」であって「社会人」じゃないんだよ、というひともいます。
もう、男性は言われたい放題です。なんだか読んでて辛くなってきました。
「おひとりさま認知症者」の機嫌がよい理由
「家族がいる場合とは異なり日々叱られ続けるストレスはきわめて少ないとあって、独居の認知症患者さんの方が周辺症状が穏やかで機嫌よく暮らしておられるということでした(もちろん個人差はありますが)。
認知症者が独居の在宅で暮らせるかは、生活習慣が維持できなくなっても、訪問介護に入ってもらえば食事も入浴もできるそうです。なじみのあるヘルパーさんなら、施設のように抵抗することもありません。こうして、独居の認知症の高齢者を、在宅のまま見送ったという事例も耳にするようになりました。
そして安楽死論争
安楽死論争といえば、『文藤春秋』2017年3月の「安楽死は是か非か」特集を思い出します。
橋田寿賀子さんがガン専門医、近藤誠医師と対談した記事では、自分から仕事を引けば何も残らない、だがTV環境の変化と仕事仲間の高齢化や引退で、脚本の注文が激減した生きている意味がないという趣旨の発言をしています。この発言は、LGBT差別で物議をかもした杉田水脈議員の「生産性」発言とつながるものです。
ご本人が生きがいがないと言っていて、生きるのが辛いというのをそこまで尻を叩くことを無いと思いますが、そういう私は優生思想の持ち主でしょうか・・・。
介護保険が危ない!
このままでは介護保険が危ない!ということはつまりあなたの親とあなた自身の老後が危ない、ということです。あなたの子どもの人生も危ない、ということです。事業者とワーカーの将来も危ないということです。おひとりさまが安心して家に居られる社会、というのは、子どもが親を安心してひとりで置いておける社会、ということにほかなりません。
しかし、無い袖は振れないと思います。国民負担率現役世代の負担は、そろそろ限界のはずですが・・・。今の給料からさらに多くが社会保障費に回されても・・・。
わたしがメディアの関係者にお願いしているのは、「おひとりさま」のネガティブな姿ばかりでなく、ポジティブなロールモデルを示してほしい、ということ。
おひとりさまで逝けるということはぜいたくなことだと思いますが・・・。ある限られた世代にしか許されないような気もします。でも、元気なうちに考えておきたいですね。お金というより、晩年をどう過ごすかということを。
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それにしても、上野先生はあいかわらず無敵です。