東京湾岸タワマン論争の行方:評論家に人生を台無しにされないために

アゴラ編集部

不動産屋さんもしくはマンション評論家の方たちの戦いが興味深いです。タワマンの高騰を予想した評論家と暴落を予想した評論家との対決だそうです。

マンション相場、とくに現在(2021年3月現在)上がり続ける東京の湾岸マンション相場について、外した評論家はその予想をちゃんと総括しろよということのようです。

私のような素人から見ると、相場を外したほうも外したほうですが、当たった方もいつまで当たるのだろうかと不思議に思うのです。

それに、暴落するのは5年後?10年後?永遠に上がり続けるの?「今不動産を買わなきゃ買えなくなる!」と不動産屋さんに駆け込んで、銀行さんのお世話になって買う人はどう見てもカモなわけです。カモなのに、評論家の人の話を聞いて、ありがたいなあと思うのは、ネギをしょって歩いているようなものです。

買いたいときが買いどき?

「買いたいときが買いどき」とも言われるのですが、「買いたい」と「買うことができる」はちがうものだと思うのですし、「ローンを組める」と「所有する」もちがうものだと思うのですが。

お金があり余っていて不動産で運用とか、不動産投資が生きがいとか、マンションを集めるのが趣味という人以外は、あんまり不動産に入れ込むのはもったいない気がします。だったら、家賃(ローン)を抑えて家族で外食とかしたほうがいいと思うのですが。え?それじゃあ、いつまでたっても資産は形成できない?うーーん。

ローンの多寡が人間の価値の多寡!?

世の中には借金できる額の多寡が人間の価値の多寡だという考えの方もおられるので、価値観の多様性は素晴らしいと思うのですが、ほとんどの人はそんな価値観ではないと思います。

私も仕事がら、不動産屋さんと一緒にマンションを購入されるお客さまとお会することがかつてありましたが、ローンが通ったときに「おめでとうございます!!!」と申し上げるとともに、どうしてもお客さまの将来を悲観してしまいがちでした。余計なお世話ですが。

30年ローン、35年ローン・・・。人間、ふつうに考えてそんな長いストレスに耐えられるようにはできていません。そもそも今の収入が30年も続くというのはシンキングがポジティブ過ぎると思うのですが、世の中ブルな人とベアな人がいてうまく回っているのでしょうか。不動産市場に関しては、オス牛さんばかりな気がします。

地球上に存在した時間の99%、動物にとってストレスとは恐怖の3分間のことだった。その3分間が過ぎれば、自分が死んでいるか敵が死んでいるかだ。で、われわれ人間はというと?それと同じストレスを30年ローンで組むのだ。

―ロバート・サポルスキー(スタンフォード大学神経内分泌学・進化生物学教授)「スマホ脳」から孫引き

評論家の人も全能ではないのかも・・・

不動産の評論家より光の当たりやすい経済評論家を見てみると、不思議な光景が見られます。

経済学者の竹中平蔵先生も、去年の6月頃(プレジデント2020/06/12号)は株価1万5000円割れともあり得ると言っておられましたが、それから9か月しか経っていない今週は、「日経平均株価は4万円台にまで上がるという予想にもそれなりに説得力があると思っています」(同じくプレジデント2021/4/2号)と言っておられます。

他のエコノミストと称されている人たちも似たり寄ったりです。雑誌全体も「日経平均年内4万円台へ。たまの急落は大歓迎!」と煽りに煽っています。他誌も同様です。

「言葉が軽すぎるのでは」と思う私の思いが重過ぎるのでしょうか。

K2_keyleter/iStock

自分のお金を心配してくれるのは自分しかいない

ようは自分のお金を心配してくれるのは自分しかいないというあたりまえの事実です。評論家の人の意見なんて(業界と利害関係のある評論家の人の意見はなおさら)当たっても外れても、楽しんで聞くしかないと思いますが・・・。あ、真面目に聞きそうになっているのは私だけでしょうか。

くれぐれも、ご利用は計画的に。