蹂躙される香港やウイグルの人権、世界は中国にどう報わせるか

先月末に突然勃発した中台パイナップル戦争は台湾に軍配が上がった。たかがパイナップルというなかれ。これは、強圧と覇権主義の中国が仕掛けた戦いを、自由と民主主義の台湾が、志を同じくする国際社会と共に真っ向から迎え撃った、されどパイナップルの戦争だった。

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確かに中国は大国かも知れぬ。人口は世界の19%を占め、GDPも米国に次ぐ世界第2位だし、軍事力も強大だ。が、その超大国がいくら横車を押そうとも、自国民の団結と国際社会の協力によって押し戻すことができた。真っ先に台湾に手を差し伸べた日本が、ここから得た教訓も大きい。

それは尖閣に例えるなら、領土を守りぬく国民の意思、海保や自衛隊の適時対処と装備強化、日米同盟に基づく防衛体制の確認、そして国際社会への発信だ。先般の日米2+2で岸防衛相は「自衛隊と米軍が訓練の実施を通じて高い能力を獲得することが重要だ」と尖閣での共同訓練を示唆した。

日米安全保障協議委員会(2+2)防衛省サイトより

ところが、当事者である玉城沖縄県知事は「国と国とで、平和裏に解決するための方向性をしっかりと探ってほしい」と述べた(沖縄タイムズ)。「中国にだけ言え」といいたい。岸発言こそ、敵に手出しを思い止まらせるための自衛策、つまり「平和裏に解決するための方向性」そのものだ。

バイデンの外交、特に対中政策を世界が注視している。ホロコーストの被害者を身内に持つブリンケン国務長官が人権を重視しているらしいのは好ましい。75%以上の米国民も党派を超えて中国との経済関係が悪化しても、中国における人権を促進するべきとしている。ここが「肝」だ。

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そのブリンケンが17日、中国と香港の当局者24人に対する制裁を発表した。中国全人代が11日、香港の自治をさらに蹂躙する選挙制度改悪を公表したことに対応するものだ。国務省はこの24人の当局者と取引を行う外国の金融機関も米国の制裁対象になると述べた。

今回の改悪は行政長官と立法会議員の選挙規定の変更。行政長官は市民の直接選挙ではなく、各種団体から選ばれた選挙委員会1,200人による間接選挙だ。中国は14年、行政長候補を2~3人に限定して雨傘デモを惹起した。中国の意に沿わない者が候補者になれるはずがないからだ。

今回の改悪はさらに念を入れた。選挙委員会の数を300増やして1,500人にし、立法会議員の定数も20増やして90人にした。新たに「資格審査委員会」を設け、行政長官と立法会議員、選挙委員の候補者を首実検する。意に沿わない者を排除する狙いは明らかだ。

だのに林鄭長官は「香港政府の統治の効率が高まる」とし、反政府勢力を議会から除くことで社会が安定すると述べた。その林鄭長官に対し、欧州議会は1月21日、逮捕した民主派前議員らの釈放を求めた上、制裁をも示唆し、昨年末に欧州委員会が合意した包括投資協定にも疑問を呈した

昨年10月の米国による制裁では、林鄭長官と香港・マカオ事務局副局長を含む10人の米国入国や米国の金融機関との取引を禁止した。効果が薄いとする向きもあり、林鄭長官も昨年11月、銀行が使えなくたったので現金で受け取った給与で自宅が「現金の山になっていると嘯いた。

日本のJPAC(対中政策に関する国会議員連盟)も16日、全人代による香港の選挙制度の変更は民主派の被選挙権を剥奪する狙いがあるとし、中国による香港の民主主義弱体化の動きは「中英共同宣言で保障された香港基本法に対する明らかな違反」であるとの非難声明を出した。

が、日本の議員連盟による遺憾砲は勿論、米国による今回の制裁もさして効果的と思われない。やはりトランプがファーウェイでやったような輸出入の規制、関税政策、サプライチェーンの見直し、株式の各種制限など、口先だけでない、実効が見込める交易制裁が必要だ。

口先だけでないといえば、ウイグル人の過酷な労働に加担した企業名が明らかになり、関係する中国企業との取引の一部中止が伝えられる。が、筆者は、中国の幹部への制裁とより包括的な交易制裁に特化すべきと考える。ウイグル人をさらに過酷な状況に追い込みかねないからだ。

さて、トランプ政権は一昨年6月の香港デモを契機に、中国による香港、ウイグル、チベットに対する人権侵害を制裁する国内法を設け、中国や香港の当局者などを罰してきた。台湾関係でも、政府高官の往来や武器売却、台湾海峡や南シナ海への艦船派遣などで中国に釘を刺してきた。

先述の交易制裁と同様、中国にとって脅威のはずだ。なぜなら香港でのやり口が、妙に馬鹿丁寧過ぎる気がする。一旦蹂躙した香港基本法だ、こうした手順を踏まず一気に廃止すれば良いではないか。が、やはり香港は金の卵を産む鵞鳥なのだろう。そこに国際社会がつけ入る隙がある。

要はパイナップル戦争と同様に、中国に依存しないことだ。中国による人権蹂躙を糸口に中国に非難と制裁を加えつつ、中国を当てにしない経済圏を目指すということ。そして米国と歩調を合わせ北京五輪のボイコットこれは効く。人権問題は政治利用とは違う。