もし、投資家全員がインデックス運用を始めたら・・・

私がこちらの書籍(お陰様で売れております)で書いているような、金融資産の運用はインデックス運用でやるのが基本という考え方が、最近ようやく個人投資家の間でも広がってきました。

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インデックス運用とは、市場の平均値に投資をする方法です。日本株で言えば、日経平均やTOPIXのように、市場全体に広く投資をしていきます。インデックスファンドは、アクティブ投資家が設定した価格を受け入れるだけの運用手法であり、価格形成に積極的に関わることはありません。

インデックス運用のメリットは、2つあります。1つは、過去のデータによればアクティブ運用よりも平均して良い運用成果が出せる可能性が高いこと。もう1つは、投資信託の場合アクティブファンドよりインデックスファンドの方が運用コストが低いということです。

アメリカの著名アクティブ投資家であるウォーレン・バフェット氏も、自身の投資方法は「例外」と語り、個人投資家はインデックスファンドを活用すべきと語っています。

最近良く聞かれる質問は、インデックス運用で多くの投資家が投資するようになると、アクティブ運用がやっている、どの株式に価値があるかを見いだす仕事を「誰もやらなくなるのではないか」というものです。

もし、投資家全員がインデックス運用を始めたら・・・株価は誰が決めるのでしょうか?

確かにインデックス運用する人しか市場にいなくなれば、価格発見機能を担う人がいなくなり、株価は歪み、割安・割高な銘柄が出てきます。しかし、そうなれば、そこにアクティブ運用による収益機会が生まれます。

つまり、インデックス運用が広がっても全員がインデックス運用をするという究極の状態には、そもそもなり得ないということです。

インデックス運用の比率が高まれば、市場の価格発見機能が低下するかもしれませんが、投資家全員がインデックス運用しかしなくなるという懸念は、想定する必要が無いのです。

株式の銘柄選択を自分でやったり、アクティブ運用をしている投資信託を購入してインデックスより高いリターンを実現している投資家がいるのは事実です。しかし、それ以上にインデックス以下のリターンしか実現できないアクティブ投資家が存在している。これが資産運用の世界の現実です。

だから、少数の「例外」の投資家以外はインデックス運用を継続するのが、最も割の良い金融資産を使った投資になるのです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年3月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。