質問作成議員の名前をめぐる事案の発生:佐倉市議会問題②

私が議員となって以降、議長等からの度重なる「要請」により、発言や振る舞いに多くの「謎の制約」がかけられてきた経緯は、先の論考をご確認ください。

これまで見てきた一連の流れを読んだ読者の皆さまは、相当驚かれたことと思います。しかし、これは佐倉市議会だけの問題ではありません。会派という制度を因とする「権力のゆがみ」が生じているすべての地方議会において、大なり小なり発生している事態なのです。そして、その結果起きているのが、「議会による行政監視機能の麻痺」であり、皆さまが収めた市税を無駄にする議決の数々につながっています。

「コロナ下短縮議会」における佐倉市議会の一般質問

さて、佐倉市議会でも、2020年の6月定例会からいわゆる「コロナ下短縮議会」が行われるようになりました。

新型コロナウイルス蔓延防止対策として、議会も時間短縮やレクの方法等について協力することは当然です。

他方、議会は唯一の「行政の総合的な監視を市民から委託された機関」であることから、機能不全状態となるわけにもいかない。

そのような観点から、佐倉市議会でも「コロナ下短縮議会」の運営方法が審議され、具体的な運営方法が決まっていきました。

その際、私たち無会派議員の「コロナ下短縮議会」の緊急避難的な制約も決まりました。

今回問題となっている一般質問に絞って簡単に説明すると

  • 本来1議員30分間の質問時間があるところ、無会派議員3名で合計30分とすること。
  • 無会派議員3名のうち1人の議員が、3名を代表する形で全員の質問原稿を議場で読み上げる形とすること。

となりました。

つまり、30分の時間枠の中で、3名の議員の質問をまとめて代表1名が読み上げてください、というもので、私たち3名はその要請を快諾しました。ちなみに、質問時間の短縮は無会派議員にだけ課せられたものではありません。時間的制約については、全会派30分の代表質問のみ実施、と決まりました。

さて、無会派議員3名は、当然ですがそれぞれ主義主張が違います。その意味で、実質的な意味では「一人の議員が会派や党を負っている」存在です。例えば、無会派議員のうち一名は新社会党の議員であるため、民間活用などの見解では私とは真逆の主張を前提に質問が組み立てられることも多々あるわけです。

しかしながら、登壇者が多くなればそれだけ職員による防疫にかかる手間も増えるし、感染リスクも高まる。よって、質問時間短縮とあわせ、代表一人が質問原稿を読み上げる、という点についても、誰からも異論は出ませんでした。

しかし、主義主張が違う以上、質問を読み上げる際「ここからは●●議員による質問です」と、明確に表明する必要があります。そうでなければ、まるで真反対の趣旨を背景とした質問を一人の議員が実施することになり、誰が聞いても混乱する事態が発生してしまうからです。

そんなわけで、直近過去2回の議会では、上記のとおり登壇する議員が、質問を作成した議員の名前を読み上げる形で一般質問を実施しておりました。また、それぞれの議会のあと発行される「議会だより」も、質問議員の名前を表記する形で発行されておりました。

また3月15日まで、佐倉市議会公式サイトでも、私たち無会派議員3名の質問の欄には「代表質問」と書かれていたことからも、3名の代表として一人が登壇している、とする議会事務局の認識があったことも特筆すべきでしょう。

つまりこの方式は、当たり前ですが、議員も議会事務局も総意で妥当性を認識し、決定され、動いていたことであったわけです。

不可解な要請

そんな中、現在会期中の議会の直前である2月18日、議長から「一般質問の際、原稿を作成した議員の名前を呼ばないようお願いしたい」と「要請」が入りました。

この要請は、これまでのそれとは重さがまったく違います。

そもそも、ことの発端は「コロナ下短縮議会」の全議員による協力体制の確立のための措置であって、「コロナを蔓延させないために何ができるか?」ということから、本来代表という概念のない無会派議員がまとまって、1人が代表として登壇することとなったわけです。その意味で、これまでの議会では「当然のこと」として受け入れてきた振る舞いを、突然議会直前に何の脈絡もなく「やめてくれ」と言われても、調整の仕様がありません。このとき、すでに原稿は完成しており、執行部との調整すら終わっていました。

この議長からの要請には、さすがにその場で丁重にお断りしました。

すると、議会の招集日である2月22日に、またも佐倉市議会最大会派であるさくら会の幹事長から、私に改めて「要請」が入ったのです。

事態を重く見た私は、無会派議員全員でこの要請の対処を協議しました。

結果は、当然ですが全員一致で「受け入れられない」とするものでした。しかし、議長とさくら会幹事長の二名からの要請であれば、相応の対処をする必要があるのではないか、ということになり、無会派議員3名の連名で正式な文書を提出することになりました。

【PDF】2021年2月議会における「会派に所属していない議員」の一般質問について

結果的に、この文書は議長が受け取りませんでした。不受理の理由は、あくまで議長から議員への口頭での要請であって、正式なものではない以上、正式な書面を受け取る位置づけの件ではない、とするものでしたが、私たち3名の考えは議長に伝わったものと思います。

その結果、この2月議会で3名を代表して質問する私は、質問を執筆した議員の名前を読み上げる形で一般質問を実施しました。

令和3年3月4日 髙橋とみお 一般質問

しかし、事態は議会報「広報さくら」に飛び火する事態となってしまうのです。次回、乞うご期待。

無会派議員の不安定な立場と度重なる「要請」:佐倉市議会問題①はこちら