東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・40歳)です。
都民税20%減税を提案
さて、私は先日の小池知事を前にした一問一答形式の予算特別委員会で「都民税減税20%」の政策提言を行いました。私が議場を出ると、主税局の職員が待ち構えていました。それは出来ないという役人論理を用意してやってきたのは言うまでもありません。事前に問い合わせでもすれば、そうやって出来ない論で抵抗されるのは分かっていたので、担当部局には何も聞かず、独自調査のみで知事への政治決断を求めたのでした。念のため、触れておきますが「個人都民税」は「個人住民税」として「個人区市町村民税」と一緒に徴収されています。つまり、墨田区なら「都民税+墨田区民税」として徴収されるので役所論理は「徴収システムとして都民税だけ減税は難しい」という事です。ならばと言うことで、システムを変えなくてもいい方法も後段に記します。
では、なぜ私が減税を提案したのかという点について補足をしていきます。
東京都の令和3年度予算編成では16年ぶりとなるマイナスシーリングを設定しました。つまり、コロナの影響を重く受けて止めて、東京都は次年度予算についての概算要求を、前年度予算額に比べて減額して行う事としたのです。小池知事がよく使う「ワイズ・スペンディング(賢い支出)の視点」により無駄を一層省くことで「持続可能な財政基盤を堅持」するとしています。ちなみに、都はこれまで起債依存度は地方自治体全体に比べて低い水準を維持し、基金(家計でいう貯金)についても令和3年度末で7000億円台を確保するなど、一定の財政余力を残している状況であることを触れておきます。
都財政は守りだけではダメだ
もとより都財政は、東京に本拠を置く大企業の収益等が基礎となる法人2税への依存度が高い事などから、景気変動の影響を受けやすく、強固で弾力的な財政基盤を構築しておく必要があります。しかしながら、長期にわたるコロナ禍にあって、都民・国民が将来への夢と希望を描きづらくなっている中にあって、これまでと同様、ひたすらに「財布の紐を固く締め続けるだけ」だと都政はその使命を果たしていけるとは到底思えません。もっと大局的な視点に立ち、思い切った財政出動で未来の東京を切り拓くという発想がより重要であると私は常々考えています。
これまでの間、都知事が変われど、都財政は一貫して歴代の財務局長が財布の紐を握り、一貫して手堅い財政運営を続けてきたわけですが、今のような時代だからこそ、小池知事がリーダーシップを取って、都財政のパラダイムシフトを進めていくことが肝要だと考えています。
小池知事を言葉遊びで終わらせないように
今年の施政方針表明で小池知事は「誰もがいつまでも、安心して暮らす事のできる都市へと進化していくこそ、未来への責任」と述べられました。為すべき投資を果敢に推し進めていくべきという知事の決意を見て取る事が出来ます。しかしながら、言葉だけで終わるのか、実際に何か手を打つのか、ここまで追いかけなければ単純に雰囲気作りの煙幕を張られた状態で、いつもの小池知事の言葉遊びになってしまいます。ここで自分自身が黙っていても、具体的な方策は都知事や財務当局からは期待出来ないだろうと判断し私から政策提言をした事になります。
実際に、街場を歩いていると、先が見えないコロナ禍において、都民の疲弊感と閉塞案を感じずにはいられません。データで見ても世帯収入は大きく減少し、都民の可処分所得は47都道府県で一番低い状態です。私が参考にしたのは総務省の全国消費実際調査をもとにした国土交通省の「中間層世帯の経済余力」分析です。これだと東京が47位で135,201円、1位は三重県で239,996円です。トップの三重県に比べて、1ヶ月あたり10万円以上も低くなっています。
とりわけコロナ禍で、子育て・共働き家庭のお母さんの収入が大きく減っていると言われています。本来、お金が一番かかる子育て世帯が、コロナの影響を大きく受けているというところに、為政者は目を向けるべきだと訴えてきました。「チルドレンファースト」を掲げる東京都はこうした層への手厚い支援を積極的に講じていくべきだと考えるのは至極真っ当だと思います。
声なき声を聞く
こういった世帯は、いわゆるサイレントマジョリティかもしれません。だからこそ、こうした方々の声なき声を拾い上げ、未来世代をこれまで以上に後押ししていくことこそ政治の責任です。生活費全般に対して、様々な費用がかかる子育て世代の生活は特に支援が必要なのです。そして更に踏み込めば、コロナの長期化により、経済の停滞、倒産・失業が今後も増える事が十分予見されます。
だから、私は都知事のリーダーシップの決断で出来る事として、都民税減税を提言したのです。当然、コロナ終息までの時限でよいのです。こんな提案をしても小池知事から返ってきた言葉は「ご意見として承っておきます。」という何ともツレないものでした。でも承ったのですから、きっちりと財務当局を説得して頂きたいものです。
様々な動きを展開して
冒頭に述べたように、徴収システム上難しいというのが主税局の考えです。ならば、一度、徴収したものを還付するという仕組みであれば、全くもってシステム上の障壁は無くなります。私は政治家として役人のように杓子定規には考えられません。実質、都民の皆様にプラスになる施策が必要だと考えています。たまたま、今回は減税提案をしましたが、他にも様々な施策を提言していく所存です。現時点では、私の個人の意見ですが、小池知事が中々煮詰まらなければ都議選の自民党公約に入れて頂ける様に執行部にも働きかけていきます。