二階俊博幹事長「他山の石」発言を斬る

濱田 浩一郎

公職選挙法違反の罪に問われた元法相の河井克行被告について、自民党の二階俊博幹事長が「他山の石」と表現したことに、批判が相次いでいる。

自民党サイトより

二階幹事長は「党としても、他山の石として、しっかり対応していかなければ」と述べたのだ。

他山の石は、中国最古の詩集「詩経」にある故事に由来する言葉である。「よその山から出た粗悪な石も自分の宝石を磨くのに利用できる」ことから「他人のつまらぬ言行も自分の人格を育てる助けとなる」という意味で巷間で用いられる。

二階氏の「しっかりと対応していかなければ」との発言は良いとして「他山の石」との表現は余りにも当事者意識に欠ける言葉ではないだろうか。

あえて言えば、今頃、しっかり対応していかなければと述べている時点で遅いのであるが。もっと前からしっかり対応して、自民党として責任をもってこの一連の問題に蹴りをつけるべきなのだ。

河井被告は、既に自民党を離党しているとは言え、自民党所属の議員として大臣まで務めた人物なのだ。しかも、河井氏の一連の問題行動は、二階氏が幹事長の時に起きた事件でもある。他山の石どころか、自山の石であろう。それを他山の石と表現してしまうところに、自民党が率先して河井被告の問題に取り組んでこなかった事を示しているのではないか。

河井被告は、先日、議員辞職を表明したが、この決断も、遅すぎると思う。そう思う国民も多いことだろう。何ら議員活動をしていない議員に多額の歳費が払われるのだから、何という税金の無駄遣いであったことか。自民党からもっと議員辞職を求める声が上がっても良かったのではないか。

自党の議員が問題行動を起こした時こそ、自浄能力を発揮し、再発防止に取り組むとか、当事者の議員に積極的に働きかけるとかすべきではなかろうか。離党したから関係ありませんでは、何とも情け無い限りである。

自民党議員は、野党が不甲斐ないから、選挙時期さえ間違わなければ、次回の選挙も勝てると思い込んでいはしないか。そうであるならば、手痛いシッペ返しを国民から食らう事も覚悟しなければならないだろう。