呆れた!“世田谷モデル”続行の予算に断固反対

稗島 進

今週、世田谷区議会は予算審査を終えた。性懲りもなく区は、“世田谷モデル”の続行に約4億円の税金を使うといい、そのうち、高齢者施設などで無症状者に対し、2ヵ月に1回程度のPCR検査を行っている「定期検査」に、約3億円が注ぎ込まれる。残りの約1億円は「随時検査」で、これは有症状者とその接触者に行う事実上の保健所の補完検査である。

わが会派(無所属・世田谷行革110番・維新=F行革)は、前者の「定期検査」について一貫して問題視してきた。まず、無症状者2ヵ月に1回程度の検査では、陽性者をうまく捕捉することはできない。2週間に1回や1週間に1回など、頻度を上げていかなければ、いち早く陽性者を発見し、隔離し、クラスター化を防ぐという当初の目的からすれば、効果はほとんどないと主張してきた。オリンピック・パラリンピックの規定でも、選手に対して4日に1回の検査を行うことになっているくらいである。“世田谷モデル”は区長の提案だからといって、ただやってる感を出しているだけに過ぎず、費用対効果を度外視した税金のムダ遣い以外の何物でもない。

予算委員会最終日の前日、区は突然、以下のような表を刷り込んだ資料を全議員に送付した。


この表から読み取れるのは、定期検査を受ければ陽性発生は減り、受けないと増えるというものだ。区はそのことを宣伝したいのだろうが、ちょっと待って欲しい。しつこいようだが、“世田谷モデル”の目的は、定期検査を実施することで、いち早く陽性者を発見し、隔離し、クラスター化を防ぐということにあった。それが、検査を希望する施設は、その検査日に備えて感染予防策を強化するので、結果として陽性者が減ることを目指す、という使い方に変わってしまっているのである。これをすり替えと言わずしてなんと言うのか。本来なら定期検査でこそ、多くの陽性者を発見しなければならないはずである。

繰り返すが、わが会派は、定期検査を続けるならば、検査頻度をあげるべきことと、範囲を限定した上で、ある程度の強制性を発揮すべきだと主張してきた。区の答弁では、この問題意識を共有しているので、国や都の検査と併せて全体の頻度を上げていきたい、とのことだが、国の検査は感染状況をモニタリングするものだし、都の検査は、結果として2回受けなければならず、しかも数万円と有料であるから、多くの施設が手を挙げるとも思えない。いずれの検査も強制はできないので、勧奨を強化するというが、それはこれまでも随分、施設に働きかけてきたはずである。そのくせ、希望施設は全体の3割に満たない。区のような大雑把な思考では、なんら有効な手立てを講じることはできず、血税は垂れ流しである。

そこでわが会派は、予算委員会において“世田谷モデル”の定期検査分、約3億円を財政調整基金積立金に組み替える動議を提出。しかし、残念ながら賛同者なく、会派の4議員以外の全議員によって否決された。そのため、定期検査分を含む令和3年度一般会計予算に我々は反対した。

一般会計予算に対する採決(世田谷区議会、稗島議員ブログより)

来週29日に本会議が開かれ、予算はこのまま可決し成立の見込みである。