LINE個人情報問題は市民個人の責任?! あまりに無責任な広島市の対応

椋木 太一

こんにちは、広島市議会議員(安佐南区、自由民主党)・むくぎ太一(椋木太一)です。

無料通話アプリ「LINE」(ライン)の利用者の個人情報が中国で閲覧できる状態になっていた問題が明るみになり、アゴラで3月24日に、公式アカウントを開設している広島市があまりにもお粗末な対応をしていることについて指摘しました(参照:「個人情報問題でもLINEアカウント続行、広島市のお粗末」)。

Gangis_Khan/iStock

この後、広島市は公式アカウントの一部機能を停止する措置を取りました。これは、道路の損傷などを広島市に報告するもので、損傷個所や画像とともに報告者の名前や連絡先といった個人情報を入力する必要があったことから、機能を停止したということです。

これはこれで必要な措置ですが、十分とは言えません。公式アカウントの新規登録(「友だち追加」)の機能は続行となっていたのです。これでは、公式アカウントを「友だち追加」したいがために、広島市民がラインをインストールする可能性は排除できません。そこで、広島市民をこうした危険性から守るべく、新規登録の機能をストップするように求めました。

広島市担当部局は3月26日、新規登録を継続すると告げてきました。

広島市は、新規登録を続ける代わり、公式ホームページなどでアカウント開設・新規登録などのアピールはやめたと説明しました。これで、新規登録を抑制できると踏んだようです。読みは甘いと言わざるを得ません。「広島市 ライン」などと検索すると、公式アカウント開設をアピールする過去の投稿などがあれやこれやと引っ掛かります。これらはリンク先が生きており、クリックすると、公式アカウントの詳細説明や、「友だち追加」をするためのQRコードも出てきてしまいます。これでは、いくらアピールをやめたと弁明しても、何の効果がないことは一目瞭然ですし、検索エンジン側の話だから広島市は関係ないなどと開き直れるものでもありません。

このように不完全な状態で放置していては、広島市民が新たにインストールして個人情報が危険にさらされることは避けられないでしょう。そこで、広島市は、広島市民が直面しうる危険性から守らなくてはいけないのではないのかと問うたところ、思わぬ返答に耳を疑いました。

「広島市民個人の責任」

公式アカウントに新規登録をするため、広島市民がラインをインストールして個人情報がさらされたとしても、それは、個人の責任だと言うのです。インストールするきっかけを広島市が作り出しているにも関わらず、このように強弁するのです。

広島市サイトより

広島市は、「公式アカウントによって同市の情報が漏洩することはない」と説明しています。これは、あくまで、広島市の立場から見た時の安全性の説明です。今回の件は、アプリ利用者の個人情報が不特定にさらされていたことに問題があるわけで、利用者である広島市民の立場から見ると、安全性が確保されたことにはならないのです。平たく言えば、広島市の情報は漏洩しないかもしれませんが、広島市民の個人情報は漏洩する危険性が否定できないのです。

広島市が広島市民の立ち位置からこの問題を見つめ直さなければ、話し合いは平行線をたどり続けるでしょう。インストールに伴う危険性は、「広島市民個人の責任」という言葉に、これ以上の話し合いはムダだと判断しました。そこで、全国の皆様に現状を知っていただきたく、筆を執った次第です。

公式アカウント開設にあたった部局の幹部3人と協議を続けてきました。3月26日に4月1日付の人事異動が発表されたのですが、うち2人は退職と他部署への異動ということでした。新規登録を続行し、万が一、広島市民に何かあったときにはどのように責任を取るのでしょうか。「広島市民個人の責任」と言ったのは、市側の責任を回避するための伏線だったと思わざるを得ないのです。