宮城の現状を分析してみる
宮城県で新規陽性者が増えています。これは県の資料
なんとこれは「累計」であって新規ではありません。「1日5000人も増えてるガー」とかいう県民も多いので新規にした方がいいと思います。
新規陽性だとこんな感じ
1月の8日前後にピークアウトしたのは全国や東京とほぼ同じ。そしてピークアウトから2ヶ月で増加に転じたのも同じ。ただ増加速度が大きい。これは東北全般に言えることではあるが、年末年始までは帰省を控えさせたため県外からウイルスがはいってこなかったのと、高齢者率が高く彼らが怯えて外出をかなり控えていたからだと思います。宮城県は累計の感染者数は決して多くないのですが、直近だけで人口あたりの感染者数を日経のサイトで見ますと
こんな感じで日本一です。山形もベスト4につけていますがなんと重症者ゼロ!!!
意外や意外、「汚染されている」と地方で思われている東京は5位。もはや夏の気候の沖縄が2位です。ただし夏場は重症化しにくかった昨年の例もありますね。今の沖縄はこんな感じ。重症はたった3名です。
では宮城ではどうなのでしょうか。
重症者・・・
たった3名・・・・・
病床使用率を宮城県のサイトで見てみますと
重症使用率13.6%!!!!
とはいえ、母数が全病棟237で重症が22床とあまりに少なすぎませんか。宮城の人口は東京の1/6ですので、東京の1/6を揃えるにしても重症用は1000/6で、166床は必要です。今のままですと普通に医療崩壊します。だって東京の冬の第3波の1/7.5しか重症用を用意していないんだもん。1年もの間、宮城県知事はなにをしていたのだろうか。元陸自の人(ヘリのパイロット)なんだから防衛大学校の防疫チームにアドバイス貰いなさい!!
宮城県はどうして感染が拡大したのか
ここからは単なる想像の域を出ません。宮城県の出す資料が少なすぎます。
単純な人の動きでは感染は拡大しません。これはもう明確なファクト!!
3.11の取材に東京からたくさんメディアが来たからという人がいますが、仮にそうならメディア側にもたくさん感染がでていないといけない。クルーは同宿でロケをクルマに乗ってずっと一緒にやっているわけだから、陽性がいればクラスターになる確率が高いが、ニュースにもなっていない。だいたい取材チームは地元の昼カラで歌ったり飲んだりはしない。
AEONモールができてたくさん人が来たからと単なる感想を言う人もいるが、NewsDigestというアプリで見てみると
イオンモールではクラスターなんぞでておりません。出てもいないのにAEONモールのせいだとか言うとこれは営業妨害です。
わたしの完全な想像ですが、宮城県は3.11の犠牲者は東北で突出しており、同じ命日で万以上の死者がいらっしゃるので、10周忌でその何倍、何十倍もの親戚や友人が集まった。正月や卒業式もしてないので当時10歳だった子供たちも成人になり集まったのではないかと思います。法事ではだいたいお寿司食べたりお酒を飲んだりしつつ故人についてじっくりと思い出を話し合います。AEONで買い物するよりはるかに濃厚な時間を過ごします。ここで感染すると平均5日で発症するわけで、3/16~20日あたりに陽性が増えるわけです。第3波のピークアウトから2ヶ月が経過して上昇に転じていたサイクルと重なった。
再度、見てみます。
あたっていませんか?
で、宮城県は経路を発表していないがダントツで感染者が多かったのが高齢者の昼カラです。
ここだけで42人も出しました。
他に目立つのが職場内感染。ここはコールセンター。密集して電話で喋るから感染しやすい。在宅でできるような対応は地方では難しい。
そしてもうひとつ。学校や幼稚園、保育園が多いのです。
そもそも子供はウイルスを出しにくいことが分かっていて、東京の例でも子供はほとんどが家庭内感染です。
学校で貰ってくるのではなく、家庭で親や祖父母からもらうのだが宮城の場合は職員や父兄にクラスターがいたのではないかと推測します。
で、宮城が重症がたったの3人の理由は簡単で
施設内感染がとても少ない
ひとつだけ見つけたのがこの特養とショートステイ。
規模も小さくよく食い止めました。
同じ高齢者でも高齢者施設にいる人とカラオケにいったりする人ではしっかり度が違うでしょう。w 普通に家族と生活できている高齢者の方が罹患しても重症化しにくいのは間違いない。宮城がまだ重症者が3人なのは高齢者施設に着火されてないからだと推測します。
宮城が医療崩壊しないポイント
高齢者施設で大規模なクラスターが起きると認知症の患者が医療施設に送られる。ウイルスも理解できない。マスクもできないし、暴れる人もいる。痰の吸引で看護士が感染する。旭川も東京も大阪もこれで医療崩壊した医療機関が多いと聞いた。高齢者施設では閉じ込めるわけにもいかないので、大声で歌も歌うしお遊戯もします。
こちらは全区民のPCRをしようとして反対に遭った保坂世田谷区長。前半分と後半でまったくつながりないですが興味深いことを言っています。
もともとコロナは5人に1人しか他人に感染させない。その中にスーパースプレッダーという大量にウイルスを放出する人がいて、この人がクラスターを起こすわけです。スーパースプレッダーはそれほど多く出現しませんが、保坂区長によると
スーパースプレッダーの9割が高齢者施設に入居中の高齢者
だったということです。これはつまり、若者と高齢者の陽性を同じレベルで扱うべきではないというわたしの主張に合理性があることを示します。つまり
高齢者施設を抑え込めば医療崩壊しない
ということです。指を怪我したから腕を切り落とすような全体規制に巨額のコストと損失を見込んで将来を潰すより、指の治療をした方が遥かにコスパがよいということです。
高齢者施設で1人のスーパースプレッダーが出ればいきなり数十人、数百人の感染者が出て、さらにはそこからまたスーパースプレッダーが出る可能性が高い。そして基礎疾患のある可能性が高いのでいきなり重症ベッドを埋め尽くすことになります。また入院先でも院内感染を起こしやすい。
高齢者施設をどうやって封じ込めるか
前々から言っていますが、行政も政府も、飲食店や病院には大金をばら撒いているのにいちばんリスクの高い高齢者施設にはなにもしていません。それどころか施設の職員のワクチン接種は優先もされません。いくらなんでもおかしいでしょう。
宮城県が今後、医療崩壊をしないためには
1 高齢者施設とその職員に優先的にワクチン接種
をすべきです。ただしワクチン接種直後は逆に罹患しやすいという説もあるので蔓延してからでは遅い。とにかく早くする
2 高齢者施設入居者と職員に毎日検査
検査して陽性が発覚したらすぐに隔離する。これだけで最小限で防げるはず。コストはかかるが飲食店を痛めつけて失業者を溢れさせるよりずっと安く付く
3 自衛隊の防疫教育を施す
知事はもと陸自なんだから土下座して頼めばやってくれますよ。で、高齢者施設の導線などを見直して貰う。彼らも医療崩壊して狩り出されるより事前の予防の方が前向きなはずです。
4 補助金で防疫改築工事
もともと高齢者施設は防疫用の設計をされてません。導線を改善することで防疫能力があがるなら将来のこともあるのでぜひやるべし
5 施設職員に公的補助
極端な話、収束期からピークアウトまではだいたい5ヶ月程度ですから、感染拡大期になったら職員にたとえば月50万円の手当を払うから施設に泊まり込んでくれとお願いする。応じる人は大喜びだろうし、足りなければ応募が殺到します。職員の数を増やして質を上げるためにリソースをぶち込むのは、経済を殺してコロナを抑え込むよりずっと確実でしかもコストが安く済みます。
宮城の緊急事態宣言はいくらの経済損失かわからないので東京の例で言うと、2週間の緊急事態宣言延長で7000億円の経済損失です。東京都の高齢者施設の職員数は
25万人として彼らに50万円ずつ配っても1250億円。飲食店に配る金より遥かに少ないです。緊急事態宣言よりずっと安く済みますよ。宮城なら1/10くらいですむのでは?
これは極端な例ですが、フロリダのように高齢者のカラオケや酒を出す店への出入りを規制するのも一案だと思います。フロリダはそれで成功しました。
知事におきましてはぜひパクってみて下さい。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2021年3月29日の記事より転載させていただきました。