女性政治家を増やすカギはどこに?

世界経済フォーラムによる2021年のジェンダーギャップ指数の発表が3月31日にありました。前年、156か国中121位だった日本は120位と、今年も低迷。政治参加は147位と特に深刻です。

出所:内閣府男女共同参画局説明資料(自民党女性活躍推進特別委員会にて)

実は、その発表があった当日、自民党の女性活躍推進特別委員会で、有識者ヒアリング(オンライン形式)が始まりました。初回は、東京大学大学院法学政治学研究科の前田健太郎准教授をお招きしました。

前田先生からは、1970年代から先進国ではどこも女性議員が増えてきたが、日本は変化が遅く、10%に到達するのもやっとの状態であることがデータで示されました。そして、女性の代表があまりにも少ないことにより、政治的な争点が、男性の有権者や議員の賛成が多いテーマ(防衛力の強化など)に偏よってしまう傾向があることなどを解説いただいた上で、

  • 今日の世界では、女性の政治参画はイデオロギーの左右に関わる問題ではなくなっている
  • ⺠主主義体制として見た場合、日本では女性の意見が十分に代表されているとはいえない
  • 日本では政党間競争の圧力が弱い以上、自⺠党の自発的な変化が今後の変革への鍵を握る

という3つのポイントをご指摘いただきました。

前田先生によると、女性議員が順調に増えていった国では、野党の女性議員増加が与党に波及していった傾向があったようですが、先生の3つ目のご指摘のように、日本では戦後、自民党がほとんどの期間与党であったわけなので、日本の政界における女性進出は、まさに自民党が自発的に変われるかどうかにかかっており、私たち自民党の女性議員は、そのためにもっと行動を起こしていくべきことが示されたと言えます。

2月に毎日新聞の特集記事でも述べたように、自民党の部会や税制調査会など、党の意思決定をする会議体(「インナー」と呼ばれるコアメンバー組織)に女性議員がほとんどいない現状を変えていかねばなりません。もちろん単に数を増やすだけではダメで、私たち女性議員の政策全般にわたる勉強を含めた努力は当然のことですが、男性議員の方々にも、女性議員をもっと意思決定の場に組み込んで、組織としての活性化を図っていくことが求められているといえます。

この日の勉強会では内閣府からも資料が提供され、担当者の説明をいただきました。印象的だったのは都道府県ごとに傾向が違うこと。「女性がゼロの市区町村議会」の比率が、我が大阪府は埼玉県や香川県と並んで低い、つまり女性議員が必ずいるというトップ3に入っていました。手前味噌ながら、私が全国初の女性知事として注目されたことが女性の政治参画に多少は寄与したのであれば非常にうれしいことです。

出所:内閣府男女共同参画局説明資料(自民党女性活躍推進特別委員会にて)

ただし、都道府県議会の女性比率となると、大阪は全国平均(11.4%)を大きく下回る6.8%。47都道府県中36番目と「下位」に低迷しています。ちなみにトップは東京(29.0%)で、2位は大阪の隣、京都(21.7%)。全国の中でも、大阪の人たちがその存在を意識することが多い地名だけに、思うところがあるのは私だけではないでしょう。「困った時の女性活用」はあっても、トップにするのはどうも、というのが透けてみえます。

女性の政治家を増やすためにはどうすればいいのか。かつての私はいわゆるクオータ制には慎重な立場でしたが、ここ最近は考えを変えました。結局、「2025年までに国政選挙の女性候補者比率を35%に」といった数値目標を掲げるだけでは、女性国会議員が衆院で1割、参院で2割の現状を打開することは難しく、制度的担保が必要です。

加えて、結構「過酷」なこれまでの政治活動のあり方を問い直す必要もあります。議会活動だけでなく、早朝から駅立ちしたり、忘年会や新年会、地域行事への参加が欠かせない毎日。土・日もありません。子育て世代の女性は、年配の男性と比べると、そうした政治活動への制約が出てくることも多いわけですから、家庭生活との両立の難しさから政治参画を断念する女性が多いのも事実。「政治は男性の仕事」になってしまうのです。

コロナ禍で旧来型の政治活動を見直す機運が少しずつ出てきてはいるものの、やはり最後は、国民の皆さまが「女性がもっと政治に参画して良い政治をしてほしい」「男性も活動スタイルを変えなくてはならない時代」と後押ししてくださることが大きな力になるのです。