リクルートワークス研究所さんが、『「つながり」のキャリア論』というレポートを発行しました。
日本人のキャリア形成が”自己責任”にかたよっていて、キャリアを支え合う公助・共助がまだまだ必要と提言する内容でした。支えあえるキャリアという観点でNPOという存在にも注目してくださり、私もインタビューに応えました。「キャリアとNPO」について、本稿で挙げられているポイントが3つあります。
1つ目は、NPOが有力なキャリアの一つになったこと。米国ではNPOは製造業に並ぶ雇用を生み出しています。子ども、教育、地域活性、復興、スポーツなど、日本でも多様な分野でNPOは雇用の受け皿になりつつあります。経済の担い手であることが認められ、近年は持続化給付金や事業再構築補助金の対象にもしっかり組み込んで頂けています。
2つ目は、NPOで働くことがキャリア形成につながること。本稿でもNPOから企業に転身した方が、NPOで多様な関係者と仕事をし、当事者に寄り添った支援を行ったことがその後にキャリアに活きた、と発言しています。確かにRCFの出身者もその後各界で活躍しています。
3つ目は、NPOで活躍するにはNPOでの経験が必要であること。企業や行政のやり方をそのまま持ち込んでも、実はNPOでは活躍できません。社会起点の価値観、公益と利益の両立、限られた資源といったNPOの特性を理解した仕事の進め方が必要になるためです。そのため、NPOで働く前に、可能であれば副業やインターン、出向などでNPOで働く経験をすることをお勧めしています。
本稿では、キャリアを支え合う上でのNPOの可能性に着目頂き、政府・自治体・企業がその観点でもNPOと連携する必要性を説いています。ぜひお読みいただければ幸いです。
以下、抜粋です。
『これまで、NPOはやりがいは非常にあるものの、 給与を含めリソースが少なく、自己犠牲による献身の結果、「やりがい搾取」や「燃え尽き症候群」になるともいわれてきました。 ところが、近年働く場としても魅力的なNPOが徐々に増えています。新たな学びを創造するカタリバ代表理事の今村久美氏は、「人のために長く働 き続けるには、まずNPOで働いている人たちが生き生き働ける環境が必要です。私の周りでは、このように考えているNPOの代表が多いです」と断言します』
『日本NPOセンター吉田氏は、「NPOの価値の 一つは、事業内容や組織形態の多様性です。個人 がNPOに関わる方法も、ボランティアやフルタイム の雇用、副業、テレワークとバリエーションがあっていいのです。複数のプロジェクトをかけもちして、時間の一部をNPO活動にあてる人もいます」と言います。 「過去にNPOで働いたことがある方だと、テレワークや週1でも非常にうまく機能します。NPOが ジョブをうまく切り出せるようになるだけでなく、若いうちに1年か2年、NPOで経験を積んでいる人が増えるのが理想です」とRCF藤沢氏は補足します。ただし、「NPOには、大企業のような潤沢なリソースもシステマチックや役割分担もありません。自身がもっているものを駆使して、どうにかしていくの がNPOです。『リソースがないからできない』と絶望していく人は向いていません」とカタリバ今村氏はいっています』