NYの株式市場は先週末に史上最高値を更新しました。株式市場には、高値警戒感があるものの世界各国で堅調な値動きが続いています。
不動産マーケットも好調です。
週末にアメリカ不動産の現状を専門家から聞く機会がありました。マンハッタンの商業物件やホテルなどは需要の急減から価格が大きく下がっていますが、テキサス州、ジョージア州、ニューヨーク州のアップステートなどの住宅価格は、コロナ禍でも年間10%以上上昇しているエリアがほとんどです。
日本国内も、タワーマンションのような都心のコンドミニアムの需要は相変わらず強く、投資用物件も家賃水準はほとんど変わらず、こちらも物件価格は高止まりしています。
暗号資産マーケットでは、先週から主要通貨のリップルの価格が急騰しています(写真はコインチェック社のチャート)。
ほとんどの資産の価格が上昇しているように見えますが、この価格の計算は法定通貨である日本円を計算単位にしています。円とそれぞれの投資対象との相対的な交換比率を計算しているのです。
ということは、投資対象の資産価格が上昇していると見ることもできますが、法定通貨の円の価値が下がっていると考えることも可能です。
2013年にツイッターで、髪の毛の後退度がハゲしいと揶揄されたのを受けて、ソフトバンクの孫正義氏が「髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのである。」と返信した伝説のツイートがあります。
孫氏の言葉を借りて言えば「資産が増えているのではなく、法定通貨の価値が下がっているのである。」と捉えることも出来るのです。
もしそうだとすれば、円の預貯金で資産を保有するのは、危険ということになります。
資産の管理は円に換算して、アセットアロケーションをモニタリングしていますが、自国法定通貨を使った相対的な価値計算には、いずれ限界がやってくる可能性がある。
円換算で自分の資産が増えているからと言って、安心してはいけないのです。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。