宝塚市長選挙と福岡県知事選挙から見えるもの

宝塚市長選挙から見えるもの

宝塚市が特別にリベラル色が強い地域だとは思わないのだが、結局は現職市長の後継者を名乗る女性弁護士の方が激しい選挙戦を制して市長選挙に勝利された。

維新の勢いが関西圏をどこまで制するのだろうか、と見守っていたが、やはり最近の大阪維新の会出身の大阪・池田氏の市長の不祥事がマイナスに影響したようである。

当選された女性弁護士の方がそれなりに中間層、無党派層の支持を得られるような方だったということもあるだろうが、関西方面での維新の勢いに多少の陰りが射している、ということかも知れない。

深刻なのは、自民党推薦の候補者がその力を十分発揮出来ないまま選挙戦を終えてしまったことだろう。
自民党に逆風が吹いている、とまでは言えないが、自民党の集票力、組織力がかなり落ちてきているのかも知れない。

公明党の動きがまったく報じられていないので、今回の宝塚市長選で公明党の組織票がどう動いたのか現地の状況を知らない私には何とも言えないが、報道されている兵庫県知事選挙についての公明党の対応からすると、どうも宝塚市長選挙は静観していたのではないだろうか。

今回の宝塚市長選挙の結果は、多分、今年関西圏で行われる各種各級の選挙を占ううえでの重要な資料になりそうである。

投票率29.61パーセントの選挙で当選しても、そんなに胸を張れませんね

得票率が81パーセントだと聞いた時は、お、これは大勝利だ、さすがですね、と思ったものだが、投票率が僅か29.61パーセントだったと知って力が抜けてしまった。

とかく政争で名を轟かせている福岡県の県知事選挙だから、さぞかし厳しい選挙戦を制したのだろうと思っていたが、何のことはない、今回の福岡県知事選挙は事実上県民から見放されていたようなものである。

最低投票率制度が導入されれば無効と判定されかねない、低投票率。

こういう選挙は、やりたくないものだ。

投票された有権者の皆さんに、よくぞ投票していただきました、と感謝状を贈呈したくなるほどの低投票率。

決して候補者が悪いわけではないが、日本の民主主義なり選挙制度が段々機能しなくなっているような気がしている。

サイコロや籤引きで当選者を決めてもいいんじゃない、と軽口を叩きたくなるような選挙。

皆さん、こんなことでいいんですか、と叫びたくなるが、どうも、いいんです、という返事が返ってきそうでゾッとする。

皆さん、醒めていますね。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2021年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。