今週から、1~3月期の米決算シーズン本格化します。
20年3月に経済活動の停止に見舞われた余波から反動増が期待でき、既に米株市場は好業績を織り込みつつある様子。ファクトセットによれば、コロナ禍に見舞われてから1年後の業績は、バラ色のムードに包まれています。
4月8日までにS&P500構成企業のうち96社が1~3月期業績見通しを示すなか、そのうち61社、64%が市場予想超えでした。5年平均の35%を大幅に上回り、決算発表後の一段高への期待を否が応でも高めます。
1~3月期の業績はというと、1株利益は前年同期比24.5%増と、税制改正法が成立を受け急増した18年7~9月期(同26.1%増)以来の伸びを達成する見通し。売上予想も前年同期比6.4%増と、18年10~12月期以来の増収率となっています。
セクター別の増益率見通しでは、コロナ禍で最も打撃を受けた業種のひとつである一般消費財が同103.4%増と、断トツで1位でした。続いて金融(同78.7%増)、素材(同46.4%増)が並びます。逆に資本財とエネルギーは回復の遅れから、減益見通しに。気になるエネルギーは、赤字だったため前年比の予想は盛り込まれていません。
増収率見通しでは、テクノロジーが1位で15.5%増でした。決算発表前に金利上昇一服の流れから買い戻されていた理由は、業績への楽観見通しも背景にあったことでしょう。テクノロジーの後には、増益率1位の一般消費財(同15.0%増)、通信(同12%増)が続きます。。減益が見込まれた資本財とエネルギーは、こちらでもマイナスと予想に終わっていました。
2021年の1株利益も好調なペースを維持するとみられ、前年同期比26.3%増でした。売上も同9.7%増と、力強さを維持する見通しです。12ヵ月先の株価収益率(PER)が22.4倍と、5年平均の17.8倍と10年平均の15.9倍を揃って上回るものの、市場関係者は業績が割高感を正当化すると判断しているかのようです。
チャート:2021年の勝ち組は、米株相場に?足元はビットコインですが、S&P500も堅調。
バイデン政権下で追加経済対策が成立しただけでなく、インフラ計画も発表されアナリストも強気モードに傾いています。ファクトセットによれば、アナリストの向こう1年先のS&P500予想平均は4,499.49、4月8日の引け値から9.8%高を見込んでいます。ウォール街のヨーダことブラックストーンのバイロン・ウィーン副会長は一段高の前の調整を、ドイツ銀行は3ヵ月以内の大幅下落を警告していますが、強気派にしてみれば「音楽が鳴り続ける間は、踊り続けなければならない」といったところなのでしょう。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年4月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。