週末に行われた北海道、長野、広島の補欠/再選挙で自民党が全敗したと報じらています。そもそも北海道と広島は自民の不祥事問題が背景で長野は立民の羽田雄一郎氏が昨年コロナで亡くなられたため、弟さんが立候補した選挙でした。その点からすれば自民にはどれも形勢不利で私としてはむしろ1勝でもすれば御の字だったのでは、と思います。ただし、計り知れないのは全敗というのが自民党退廃化が進んでいるのか、善戦したけれど届かなかった、ということなのか、この判断はもう少し様子を見る必要があると思います。
日経とテレビ東京の世論調査が週末にあり、こちらは内閣支持率が47%で3月の45%からは微増。一方、政府のコロナ対策については評価するが30%で過去最低、評価しないは65%で過去最高となっています。調査したタイミングが緊急事態宣言を出す時と重なったこともありますが、政策での低評価は厳しい答えになったと思います。
但し、支持政党については自民が47%で前回より4%ポイント上昇しているようでこの辺りに国民の迷いも見て取れます。たまたま内閣支持率と自民支持率が同じ%となっていますが、これはいわゆる自民岩盤層とみて取れ、一定以上はよほどでない限り下がらないけれど国民のしらけ具合は少しずつ高まり、かといって野党支持に傾くわけでもないという国民の政治からの離反が起きそうな気配を感じます。
政治が弱いと国力の問題ということになります。諸外国から押されてやむを得ず、ぬくもりあるこたつから出てくるようでは困るので問題が顕在化しないうちに改革を断行しないと厳しいでしょう。
昨今強まったのは野党が様々な政策論争に於いてまとまりを欠き、ばらけていることでしょうか?これでは野党の連立を組みようがありません。世論が中道左派化する傾向は欧米などの都市圏のトレンドで左派政権は国民、市民の様々なボイスを拾ってくることで政策も針小棒大化し、焦点が定まらない状況を生み出しています。特に人権を盾に持論を展開すればNOとは言いにくい雰囲気はあるものです。小さな声にも耳を傾けることは大事ですが、それにより全体のバランスを欠いてしまっては元も子もありません。
私はここ、バンクーバーに於いて連邦政府と州政府がともに中道左派の中にいます。良い政権か、と言えば「まずくはないけれどパンチがない」というのが個人的にフィットする表現です。中道左派がバラマキ政権と言われるのは様々な声を反映することと苦しい人により配分を増やすという考え方なのである程度成熟した社会においては中道左派は入り込みやすい立ち位置であることは確かです。
その点からすると日本も本来であればもっと左傾化してもおかしくないのですが、55年体制を起点に日本経済の発展と共に自民党の発展があり、その後、自民党一党制度に近いものが実態として生まれてしまったことがあります。今回の世論調査でも自民党を支持する最大の理由が「自民党中心の内閣だから」であります。いつもこの世論調査で思うのですが、「自民党の内閣だから」というのは理由になっているのでしょうか?
国民はブランドで選んでいてその中身は粗悪品や不良品が入っていてもやっぱり、自民党よねぇ、になっているのです。理由は「だって〇〇党じゃ心許ないじゃない」で一種の商品選びに近くなっているのです。とすればこれは自民に危機感を持っていただかねばなりません。新しいブランドが立ち上がったら国民の目はそっちに向くだろう、ということです。
野党はしばしば分裂するのですが、自民は分裂しません。多分、「体育会系ピラミッド型構造」が構築されているからなのですが、もしも政策的に中道から中道右派で国際派、中間層の被雇用者ターゲットで若手中心のわかりやすい政党が出来たらどうでしょうか?私は一気に流れる気がします。
それはいつ起きてもおかしくないと思っています。単なる機運、きっかけ次第だと思います。
自民党にはいわゆる長老政治があり、元〇〇という肩書の人だらけで一過言ある人ばかりです。中国の共産党政治を我々は批判しますが、自民党のスタイルは一面を見れば決して共産党の構造と異にするわけではないのです。一方、国会や委員会での野党の質問は相変わらず与党への批判と叱責が多いのですが、若い野党議員がそんな相手の上げ足を取ることが議員の仕事だと思われてしまうと野党の将来もないな、と思ってしまうのです。
私は上述のような若手主体の新党結成、そこでは超党派でもっと理論武装して未来の日本をよく考えた政党ができればよいと思っています。今回のコロナで思ったのは医師会の暗躍だろうと思います。政党を支持する代わりに医師会の利益を守るための出来レース的なところが見て取れます。なぜ、医師会の人がコロナ専門の代表者として代弁するのかここにグサッとメスを入れたメディアはないかもしれません。怖いですからね。小池さんと医師会の連携もありますから次の都議選も小池さんはうまくやるのでしょう。しかし、それが党利党略のやり方だとしたら今の人はもうついてこないと思います。
誰のための政治なのか、誰の利益を守る政治なのか、もう一度考える頃に来たと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年4月26日の記事より転載させていただきました。