緊急事態宣言 〜「墨田区」で感じる事〜
東京都について、4月25日からの緊急事態宣言発出という事態になってしまい都民の皆様、国民の皆様に本当に申し訳ない気持ちで思いでいっぱいであります。本当に悔しいです。小池知事には言わせれば「楽しくないGW」に突入する事が確定してしまいました。そもそも、緊急事態宣言は、医療提供体制の逼迫を回避する為の手段であると1年前から私は言い続けてきました。
変異株N501Yは感染力が強いと言われていますが、それでも「救える命を救う」という大前提で行けば、東京の医療体制にはまだ余裕があります。大学病院など基幹病院のドクター達にはワクチンも打って接種してきました。それだけに、これまでの感染の波とは明らかに状況が違うと私は考えています。先週、大阪の吉村知事が「緊急事態宣言」を口にしたあたりから、私は「東京と大阪」の違いを訴えてきました。しか、18日の日曜に突如として、小池知事が「宣言要請」を示唆されて、二階幹事長や西村大臣を訪問し、今回の流れが出来上がってしまいました。
東京23区特有の事情
私はコロナ対応で、東京23区は特別だという事を昨春から言い続けてきました。それは、23区が仕組み上、保健所の設置自治体として東京都から独立している組織です23区はかつては、都の組織でしたが平成12年に東京都の内部団体から脱却して法律上の「基礎的な地方公共団体」として位置付けられ、今日に至っています。この1年、小池知事がテレビなどのメディアに登場して、様々な情報を発信していますが、最終的には保健所行政は「権限外」だという建前を破る事なく突っ込んだ施策を打ち出せないとしていますが、私からすれば、それは都庁だけの「打ち出さない」理由であり、厚生労働省も23区も内心では呆れています。都庁が主張するように、感染症法という法律では「保健所設置自治体」の責任になっていますが、特措法では「都道府県知事」が主導する事になっています。私は議場内外で「都合よく法律を使い分けるな」、やるなら知事が全てやるべきだと要求してきましたが、前進させる事が出来ませんでした。
この現象は多かれ少なかれ、政令指定都市を持つ自治体では同様の事が考えられますが、政令指定都市と23区の各々単体とでは人口も面積も異なります。例えば、横浜市なら377万人ですが、墨田区なら27万人です。23区内外への出入を考えた場合、やはり単体で事に当たるよりも、東京都が23区全体の医療体制や保健所体制をマネジメントする事の必要性、優位性を説いてきたのです。
墨田区はやれている
しかしながら、都の姿勢が、この状態ですから、私は地元の山本墨田区長に「東京都や国の制度設計を待っていると後手後手になります。やれる事は現場でどんどんやった方がいいです。」と言ったのが昨年の春の事でした。元々、西塚保健所所長が感染症対策の専門家で、墨田区長や墨田区議会も保健所からの提案を潰す事なく全力でサポートしていた事もあり、完全に先手先手の対策が出来上がったものと認識しています。
では、その墨田区が年末年始の反省から、どんな取り組みをしてきたをご紹介します。
まず、よくマスコミなどが指摘する検査体制です。区長や保健所長を中心に、地元医師会にお願いをして、感染疑患者の診療や検査を行う「診療・検査医療機関」について、年末は53機間だったのが、65までに増えました。実際に、診療や検査の希望件数は1日あたり360件が930件まで対応できるようになっているのです同様にコロナ病床も年末年始の111床が189床になっています。こうやって地道に動けば道は開けるものと認識しています。
首長の気概で対応できる
首長はじめ関係者が、心を込めてお願いすれば医療従事者の皆様は本来の使命を感じ、それぞれの出来る範囲でコロナ対応に取り組んで頂けるように自治体が動きやすいようにお金を交付するのが、一番の対策だと感じています。知事が声高らかにアピールすることでマスコミ通じて広く施策は伝わりますが、実際に現場で苦労するのは自治体職員です。東京都全体が特定地域となり緊急事態措置ですが、墨田区の事情と港区の事情も異なります。こういう東京特有の事情を考慮して、コロナ禍を乗り越えていくのには根気強さが必要ですが、私は地元墨田区でやれる事をやっていき、参考事例を広く訴えていきたいと考えています。