特別養護老人ホーム勤務者からみた緊急事態宣言 --- 野地 律子

「こんな生活するくらいなら、コロナにかかって死んだ方がマシ」

これは勤務先の介護施設にお住まいの利用者の方のセリフです

しかし、コロナ対策に馴れた頃には「コロナにかかって死ぬの嫌やなぁ」と意見が180度変わりました。毎日テレビを見て怖くなってきた様です。

先日、3度目の緊急事態宣言が出ました。宣言が出たところで、勤務先の介護施設は何も変わりがありません。ただひたすらいつも通りアルコール消毒をするのみです。

byryo/iStock

近隣の施設では、今回の緊急事態宣言の前にクラスターが起こりました。利用者の8割弱が陽性となり、数名の方が亡くなりました。最初の数人は病院に入院出来ましたが、クラスターが広がると入院を拒否されたそうです。

一方、他の施設では、「80才まで生きたのですから、仮にコロナで亡くなってもそれが寿命ですよね」と、ご家族に同意を求め、手洗い消毒検温実施で面会も行っています。今のところ感染者はいないそうです。

どちらの施設も対策はしていたでしょう。しかし、ウィルスはどこからともなくやってきます。これは私の肌感覚ですが、低所得や生活保護層は、喫煙飲酒が多く薬も多く服用している傾向にあり、そもそも健康はとは言えない方が多く、そういったエリアはクラスターになりやすいのではないかと考えます。

各地で施設内クラスターが多発する中、普段どおりの生活をするのは大変勇気がいります。しかし、老い先短い高齢者にとって何が幸せかを考えると、普段どおりに生活する方を選ぶことは至極当然です。1年以上もの間、家族に触れる事も、外出する事も出来ず、ただ生きているだけで何が楽しいのか。高齢者の寿命をあと数年伸ばすために学生や現役世代の生活を制限することに何の意味があるのか

3回の緊急事態宣言。3回目は大阪のピークアウトが見えてきたと同時に宣言が発令されました(火曜日は何故か増えましたが)。下がりそうなのを見計らって発令したのではないかと疑う程です。

齢者にとってはコロナもインフルエンザも同等に脅威です。コロナは感染してから死に至るまでの期間が短いので恐ろしいのは理解できます。しかし、高齢者の死は日常です。大切なのは残された寿命をどの様に”生きる”かだと思うのです。

野地 律子

特別養護老人ホーム勤務。介護福祉士(パート職員)。介護施設勤務勤続10年。兵庫県出身団塊ジュニア世代。夫と中高生3人の5人家族。趣味は漫才や音楽のライブに行く事。


編集部より:この記事は投稿募集のテーマで寄せられた記事です。アゴラでは、さまざまな立場の皆さまからのご意見を募集します。原稿は、アゴラ編集部([email protected]にお送りください。