ワクチン医療従事者優先理由についてのデマに注意

医療従事者等への優先接種は患者や顧客にうつさないためであるとか、副反応についての安全確認のためだとかいうデマが流れているので注意をしてほしい。

厚生労働省 wikipediaより

厚生労働省は、そんな説明はしていない。

「医療従事者等に対する先行接種は、短期間で承認申請を行ったワクチンの安全確認も兼ねて行うことはすでに周知されている」とか「患者等にうつしてはいけないからだ」とかいう奇説をおおまじめに言う人もいる。

どうも、自分たちへの優先接種の理由がそういうものだという噂が医療従事者等(等ばかり繰り返して申し訳ないが、そうしないとクレームつける人間がいるので)のあいだで流れているので間違ってそう言うのであって、悪気はないと信じたい。

しかし、厚生労働省は、そんな説明はしていないし、もし医師などから患者に移さないためだとしたら、ワクチン接種を義務づけないとおかしい。また、ワクチンを2回接種して、さらに1週間以上は医療行為するべきでないことになるので、少し考えれば馬鹿らしいことだ。

厚生労働省は、次のように説明している。

医療従事者等に早期に接種する理由として、以下の点が重要であることを踏まえ、具体的な範囲を定める。

  • 業務の特性として、新型コロナウイルス感染症患者や多くの疑い患者(注)と頻繁に接する業務を行うことから、新型コロナウイルスへの曝露の機会が極めて多いこと
  • 従事する者の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であること

※なお、ワクチンの基本的な性能として発症予防・重症化予防が想定され、感染予防の効果を期待するものではないことから、患者への感染予防を目的として医療従事者等に接種するものではないことに留意(医療従事者等は、個人のリスク軽減に加え、医療提供体制の確保の観点から接種が望まれるものの、最終的には接種は個人の判断であり、業務従事への条件とはならない)
(注)疑い患者には、新型コロナウイルス感染症患者であることを積極的に疑う場合だけでなく、発熱・呼吸器症状などを有し新型コロナウイルス感染症患者かどうか分からない患者を含む。

ここまでみると、コロナ対策の前線にいるお医者さんや看護師さんが対象か。それなら仕方ないと思う人も多いだろう(海外ではそれすら高齢者などに比べて最優先とは限らないのだが)。イメージとしては、全国のお医者さん30万人の数%に、その3~4倍くらいの看護師さんというイメージだろうか。

ところが、コロナ治療の現場だけでなく、多くの医療者に拡大できる緩い基準にしたので、対象はなんと480万人に膨れ上がった。

それに副反応がないかどうか確認したいだけなら、それを承知で接種して欲しい人を公募すればいいのだ。もちろん、私は手を上げるし、仕事上の必要(海外へ行かなくてはならないとか、学校の先生のように大勢の人の前で大声で話さなくてはならない人とか)や家族の高齢者にうつしたくない家族がこぞって手を上げるだろう。

対象となる医療従事者等

以下の人びとが、早期に接種する医療従事者等に該当する。

  • 病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに従事し、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
  • 自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務で、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
  • 新型コロナウイルス感染症患者
  • 疑い患者を搬送する救急隊員等・海上保安庁職員・自衛隊職員

※医療従事者等の方は、個人のリスク軽減に加え、医療提供体制の確保の観点から接種が望まれるが、最終的には接種は個人の判断となる。
※接種を行うことは、強制ではなく、業務に従事する条件にもならない。