地方議会議員とボランティア①:スクールガードの事例

昨年から、地元の小学校の児童登校時のスクールガードをしています。

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市議会議員がこういった地元のボランティアを実施することについては、市民の方からいろいろなご意見をいただきました。

いわく「感心な行動だ」という好意的なものから、「議員は市全体のことをみるべきで、そういう局所的な活動は控えるべきだ」という批判的なものまで様々です。

私としては結論がでていて、「バランスが大切」だと思っています。

スクールガードは地元のボランティア活動でありつつ、この活動を通じてしか知りえないような、市の課題を見つけることもできます。

今回の連載では、約1年間、平日毎日おこなったスクールガード活動の概要とあわせ、この活動で知りえたこと、体験したことをいくつか紹介していく中で、「地方議会議員のボランティア活動はどうあるべきか」に関する、私なりの見解を述べたいと思います。

スクールガード活動の概要

私が活動する小学校区のスクールガード活動は、主に登校時と下校時に行われます。

私は時間的な都合で登校時しかできていませんが、ようは「登下校時の児童の安全を図る」ことを目的に、地元の大人たちが中心となって実施しています。

登校時は主に、

  • 小学校のPTAを中心とする保護者の皆さま
  • 民生委員の皆さま
  • 地元自治会を中心とするボランティアの皆さま

などが中心となって活動しています。

さて、スクールガードの人員が配置される場所は、主に交通事故が発生しがちな交差点が中心となりますが、児童が犯罪に巻き込まれないようにするという視点も大切ですので、多角的視野で検討されるべきものです。

私の場合、当時の教頭先生に「人員が手薄な場所」を教えていただいたので、スクールガード開始後ごく初期からその場所を持ち場として活動しています。

スクールガード活動での諸体験

<児童通学上危険になりうる事象の確認と交渉>

私が担当している場所の近くに、ある製品の加工施設があります。その施設の前に、朝7時20分前後、ゴミ収集車が毎日停車していました。

その施設の前の道は、車がすれ違う際には一方の車両が停車しなければならないほど狭く、かつ微妙なカーブもかかっています。そこに、通学時間のピークにゴミ収集車が停車しているため、10分間とはいえとても見通しが悪くなり、危険な状態でした。

そのため、当時の教頭先生がその場所に毎日立ち、児童の安全のために交通整理をしていたのです。

教頭先生と話をしてみると、当該施設に対して、ゴミ収集車の回収時間をずらしてもらうような交渉は特にしていないとのこと。誤解のないようにお伝えしておくと、その施設に罪はありません。ゴミ収集を毎日実施すること自体はまったく問題のない行為ですし、社長を含む社員の方も、依頼した外部業者のゴミ収集自体に注意を払うことは通常しません。

そこで、私がその施設の社長に「こういう理由があるため、ゴミ収集の時間をずらしてもらえないか」と交渉をしたところ、翌日には「9時以降に変更することでよいか」とお返事をいただきました。教頭先生と調整のうえ「それで結構です」と返答したところ、その翌日からゴミ収集車は通学時間には回収にこなくなりました。後日、社長にお礼を言いに伺ったところ、笑顔で「こちらこそ、気づかずにすみませんでした」との言葉を頂戴しました。

学校としては、地元の事業者にそういうお願いを持ちかけるのは気が引けるものです。また、相手は民間企業ですから、学校としてはそういった交渉をお願いする先もありません。そんなとき、市民の代表という前提がある市議会議員という立場が大いに役立つわけです。

次回原稿では、引き続き本活動の経験の中で、市民と議員というそれぞれの立場で感じたこと、学んだことを紹介していきます。