米1〜3月期実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率6.4%増と、市場予想の6.1%増を上回った。前期の4.3%増も超えた。20年12月末に成立した追加経済対策に加え、バイデン政権下でも”米国救済計画法”が成立、現金給付が合計2,000ドルに及んだ影響で、個人消費が押し上げた。また、1月後半からカリフォルニア州など正常化が進んだ恩恵に加え、ワクチン普及もGDPを支えたとみられる。前年比では0.4%増と前期の2.4%減から転じ、1年ぶりにプラス圏を回復。金融危機直後となる2008年以降の4期連続でマイナスを回避した。
米経済の寄与度は、項目別に以下の通り。GDPの約7割を占める個人消費が最もプラスに寄与した。
・個人消費 7.02%pt、3期連続でプラス>前期は1.58%pt
・民間国内投資 0.87%pのマイナス、3期ぶりにマイナス<前期は4.41%pt
・純輸出 0.87%ptのマイナス、3期連続でマイナス>前期は1.87%ptのマイナス
・政府支出 1.12%pt、3期ぶりにプラス>前期は0.14%ptマイナス
▽個人消費の内訳
・個人消費 10.7%増、3期連続で拡大>前期は4.3%増
あ耐久財 41.4%増>前期は1.1%減
あ非耐久財 14.4%増>前期は1.6%減
あサービス 4.6%増、3期連続で拡大>前期は4.3%増
▽民間国内投資の内訳
・民間国内投資 5.0%減、3期ぶりにマイナス<前期は27.8%増
・固定投資 10.1%増、3期連続で拡大<前期は18.6%増
・非住宅固定投資(企業の設備投資) 9.9%増、3期連続で拡大<前期は13.1%増
あ構築物投資 4.8%減、6期連続でマイナス>前期は6.2%減
あ機器投資 16.7%増、3期連続で拡大<前期は25.4%増
あ無形資産 10.1%増、3期連続で拡大<前期は10.5%増
・住宅投資 10.8%増、3期連続で拡大<前期は36.6%増
・在庫投資 855億ドルの減少、過去4期で3回目のマイナス<前期は621億ドルの増加
▽政府支出
・政府支出 6.3%増、3期ぶりに拡大>前期は0.8%減
あ連邦政府 13.9%増(防衛支出が3.4%減、非防衛財は44.8%増)、3期ぶりに拡大>前期は0.9%減
あ州/地方政府 1.7%増、4期ぶりに拡大>前期は0.8%減
GDP価格指数は4.1%上昇し、前期の1.9%の上昇に続き3期連続でプラスとなった。コアPCEは2.3%上昇、前期の1.3%を超え2018年4~6月期以来の高い伸びとなった。
――Q1実質GDP成長率は、現金給付や経済正常化、ワクチン普及などを背景にGDPの7割を占める個人消費の減速を受けて加速しました。米連邦公開市場委員会(FOMC)は2021年成長率予想の実現に、一歩近づいたかたちです。純輸出や在庫投資を除いた最終消費がコロナ以前の水準を超えたように、需要は力強く拡大しつつあります。
あとは、バイデン政権が目指す米国雇用計画や米国家族計画が、どの程度の規模で成立できるか。政権側は民主党保守派を抱き込むべく妥協する見通しであり、法人税や所得税など増税の影響と合わせて協議の進展が待たれます。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年4月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください