全国で高齢者向けてのコロナワクチン接種の予約が始まっています。
日本経済新聞によれば、電話が殺到してかかりにくくなり、NTTが通信制限で対応する事態になっているエリアも出ているようです(写真も同紙から)。
例えば、東京都渋谷区では、5月10日の午前9時から集団接種の予約受け付けを始めたものの、開始からわずか15分ほどで、約4800回分の予定枠に達したそうです。
渋谷区には区民から「電話がつながらない」「ネットにアクセスできない」などの苦情が寄せられたと報じられています。
実は、80代の私の母は、東京都渋谷区に住んでいます。ワクチン接種を心待ちにしており、上記のようなアクセスの集中が予想されたため、私が予約の代行をしました。
予約が始まる朝9時前からパソコンの前にスタンバイして、時報と共にサイトにアクセス。それでもなかなかつながらず、とにかくどこでも良いから空いている予約枠を見つけ、何とか予約できました。
わずか約4800回分の予約枠を区内の高齢者に一斉に解放すれば、予約が殺到することは明らかです。コールセンターの対応人数が何人かは公表されていませんが、せいぜい数十名のレベルだと思います。これでは、電話予約しようとしても繋がる可能性は極めて低く、パソコンや携帯を利用できない高齢者は、予約が後回しにされてしまう不公平が生じることになります。
これは高齢者への行政サービスとして、あまりに気配りが足りないのではないでしょうか。
例えば、高齢者にはワクチン接種の日時を行政が割り当てて通知して、都合の悪い人が変更の手続きができるようにする。このような対応をすれば、多くのシニアは予定された日時に会場に行けば良いので、予約の手続きは必要ありません。
高齢者は時間的には比較的自由なので、勝手に予定を指定されてもフレキシブルに対応できる場合が多いのです。
これからも各地で予約受付が始まり、その度に電話回線パンクや予約サイトのサーバーダウンといった事態が繰り返されることが予想されます。
一斉受付という「平等」に見える予約方法によって、大きな「不公平」が生まれていることに気が付き、高齢者の立場を考慮した方法に修正していくべきだと思います。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年5月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。