医師会中川会長が身を挺して教えてくれた感染症対策

多田 芳昭

日本医師会中川会長のパーティー主催という文春砲で世間が騒がしい。医師会の常勤役員14人全員出席との事だ。

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でも、これでようやく真の実態が垣間見える事にもなった。あらゆるコロナ渦情報を入手し、専門知識もあり、かつ、感染抑止対策としては極めて強硬論を展開する権限を持つ人物が取った行動なのである。間違いなく裏付け、確信は持っているはずなのだ。

何故なら、万が一にもパーティーがクラスターとなって自身が感染した場合に隠し切れないから、クラスター化しない確信があったと考えるべきである。例え、今後どの様な言い訳をしようとも、その点に1点の曇りもない。

文春を甘く見た、敵を作りすぎた、スクープのリスクを考慮出来なかった等、脇の甘さは仕方がないとしても、医師会トップとして、最悪感染した場合でも言い訳できる範囲を考えての行動である事は当然だ。従って、このパーティーでは感染はしないという確信があったと考えるべき。それは、感染対策が万全だと考えたからだろう。

即ち、医療を守るために、不必要な自粛や休業、経済負担を負わされた国民としては、感染対策を万全にしさえすれば活動は容認されるべきである。但し、事はそう簡単ではなかったのだろう。

その理由は、ここまでやれば万全とのガイドラインをいくら示しても、守らない層は一定数存在するからだ。ここまで危機感を煽っても、軽い症状があっても活動する人が、7~10%存在すると言うデータもその事実を示している。筆者自身も、軽い症状の人が出歩いている事実を幾例も目撃している。それ故、無症状者ではなく、軽症状者が感染拡大のキーファクターだと昨年当初から主張し、拙著でも訴えてきたのだ。

今迄は、その様なルール破りに対処する為に、その事実を隠蔽し、専門家集団が挙って危機感を煽り、実際必要な基準よりも遥かに過剰な基準を求める世論を形成し、政治が世論に耐えられなくなり、その結果として、過剰な要求を国民に強いてきたというのが実態だろう。しかし、国民も馬鹿ではなく、ステイホームを訴えられても、その科学的合理性に疑問を持ち始め、表向きの発言は大人の発言をしながらも、それ故世論に変化はないが、行動は活発化させてきている。

今回の医師会長の事件は、良いターニングポイントとするべきであろう。実質、感染対策すれば問題ないと周知し、その代わり、対策履行の強制力を伴う法制化、罰則化を整備すればよい。同時に、医療資源の再配分に対しても緊急時対応として政府に権限を集中することだろう。簡単である、政府が用意した、集中治療センター、集中ワクチン接種センターに医療資源を強制的に供給できる様に、その為に、開業医も含め、休業率を設定、輪番制でセンターへの人材資源供給を行える様にすることだろう。それだけでいい。抵抗勢力であった医師会も抵抗力は弱まっただろうし、組織票を気にせず、強行できるだろう。

良く考えて欲しい。あれだけ危機感を煽っているが、テレビ出演のコメンテイターでマスクをしている人は存在しない。アクリル板1枚で、大声で過激な発言を繰り返し、危機を煽り続けている。見ていて、可笑しい、言っている事と行動が矛盾すると誰も思わないのだろうか。

筆者は、決してコロナは何の問題もなく、安心だとは言わない。しかし、今の日本の騒ぎ方が異常だという事はデータから明らかである。然るべき、事実を周知している人物、組織の行動を見ても明らかだ。その事に気付き、多くの人が目を覚ます事を期待したい。

安全ではないから、症状のある人は出歩くべきではない。その様な事は出来ない、会社は休めない、ではなく、有症状者が出歩く行動こそが、最悪の行為だという事を認識するべき。

そして、感染対策の実行を強制化し、通常の活動は解禁。但し、ルール違反には休業勧告を実行。チェック体制として口コミを1次的に利用し、怪しきは行政検査だろう。

そして、高齢者施設(職員・出入り業者含む)に対する、ワクチン接種最優先化、感染対策の強化は、今出来ていないのが不思議だが、確実に実行すべきだ。

加えて、正確なデータを判断基準とする為にも、PCR検査のCT値は25~30までに再設定。感染力のない陽性者を無暗に増やさない。死者数も、直接死因に限定したカウントに変更するべきだろう。

最後に、病気なのだから、自己防衛が基本である事を忘れてはならない。ワクチン接種による獲得免疫の前に、自然免疫の強化が最重要個人課題である。その為にも睡眠や栄養補給に加え、日中の外出による日光浴でビタミンD生成は重要と考える。特に今の時期、紫外線量が増え、免疫強化される時期なのだから、決して巣ごもりしてはならないのだ。