今週のメルマガ前半部の紹介です。
3度目の緊急事態宣言下で迎えた今年のGWですが、主要観光地ではむしろ例年に勝るとも劣らぬ人出が観測されているようです。
【参考リンク】Wの高速道路や観光地で渋滞・行列…“越境都民”も
【参考リンク】御殿場プレミアムアウトレットの炭焼きレストランさわやか、3度目の緊急事態宣言の副作用もあって開店前から待ち時間500分超を記録
どうして日本人は緊急事態宣言下でもゾロゾロ観光しちゃうんでしょうか。というかGWにしろお盆にしろ、そもそもなんで日本人はみんな同じタイミングで休暇を取るんでしょうか。
いい機会なのでまとめておきましょう。
日本で祝日が多い理由
「日本人は世界でもっとも有給休暇を取得しない」という話は割と有名ですね。コロナ禍前の2018年調査では「有給取得率、有給取得日数」で世界最下位、「上司が有給休暇の取得に協力的」と答えた人も世界最下位、「有給休暇の取得に罪悪感がある」と考える人の割合だけは世界最高と世界四冠の偉業を達成しています。
普通一つくらい良い点もあると思うんですけど四冠ですよ四冠(汗)
【参考リンク】日本の有休取得率、有休取得日数、ともに世界最下位
この手の話題になると「日本人は勤勉な国民性だから」と安直に“国民性”のせいにする知ったか評論家もいますが、無論そんなことはありません。ちゃんと構造的な理由があります。
最近ようやくニュースでも目にするようになりましたが、世界標準のジョブ型と違い、日本型雇用はメンバーシップ型という独特の制度で運用されています。
これには担当する業務範囲を明確にせず、会社都合で何でもどこでもいくらでも仕事を与えられるという特徴があります。
このスタイルだと自分でやりくりして休暇を取得するというのは至難の技なんですね。だって担当業務が曖昧でいつ追加で仕事が降ってくるかわかりませんから。
と言われてもピンとこないよという学生は、夏休みの宿題をイメージしてください。最初の一週間に集中してやってあとはのんびり休暇を楽しむか。それとも最後の一週間で追い込みをかけるのか。自身の夏休みのスケジュールに合わせて自由に調整できますよね?それは宿題の範囲が明確であり、裁量も与えられているからです。
これが仮に「クラス全員で巨大オブジェ作成してね」みたいな宿題だったら。みんなで学校に集まってやらないといけないわけです。で、帰省とかでやむを得ず休んじゃうと「あいつはやる気がない」「周囲に迷惑かけやがって」なんて陰口叩かれるわけです。日本企業あるあるですね(苦笑)
これが、日本人が世界一有給を取らない原因です。
さて、意外と知られていない事実ですが、日本にはもう一つ「世界一」のものがあります。それは祝祭日の多さです。
いくら制度上休暇が取りづらいとはいえ、同じ人間、ぶっ通しで働かせ続けたらどこかしらガタが来るものです。結果的に政府が祝祭日を増やすことで、自分の意志では休めない国民を強制的にガス抜きしているようなものですね。
まとめると、日本人は制度的になかなか自分の意志で有給が取りづらく、祝祭日の多さでカバーされている。だから連休になると人出が集中しやすく(休暇なんて後でとればいいんだから今はじっとしてろと言われても出来ないから)緊急事態宣言出されてもゾロゾロ出てきちゃうわけです。
以降、
コロナにも弱かった日本型雇用
働き方改革とは“休み方改革”である
Q:「実力ベースで評価する際の注意点は?」
→A:「年功で評価するとモメはしませんが組織は長期的に衰退します」
Q:「リモートワークが最高すぎて以前の働き方に戻れる気がしません……」
→A:「一人非常事態宣言をキープしましょう」
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2021年5月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。