考えないでさらにツッコめば良くなるってアフォですか

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効果が出ないからもっとツッコめばきっと効果が出る?

とても不思議な事があります。たとえば「コロナをおさえるためには人の動きを抑えないといけない」という、普通にテレビで専門家が言っていることです。仮にコレが正しければ、人の動きをたとえば20%抑えると感染拡大は少しは減らないといけない。しかし東京都を見ますと


の動きの指標の渋谷はこうなのに

感染の指標はこう。4/17あたりから人の流れは減っているのに逆に陽性は増えた。潜伏期間は5日なので4/22あたりから減らないといけないでしょうが・・・・

第3波でも

全然相関関係はありませんでした。それなのに

もっと厳しい規制をしたら必ず効果がでる

と信じている国民はもとより、医者が多いのには呆れます。法律無視して短期間のロックダウンするべきという人までいますが、厳しいロックダウンしたイタリアでは

ロックダウンして逆に感染が広がりました。ピークはロックダウンの3週間後。家庭内感染が広がったわけで、短期間の厳しいロックダウンで感染が終息した例なんて世界にあるんでしょうか。ないのにあると考えるのは単なる妄想ですよね。

普通の常識では
施策を打ったがまるで効果がない

施策自体が無意味の可能性があるから他の手を打ってみよう

と考えます。ビジネスの常識です。対策の量に関係なく有効性があれば多少は効果が出る。そういう思考が全くなく「とにかく総量を上げないと効果が出ない」と考えるのは理論でしか考えられない学者とそれに完全に感化されて丸呑みしている愚民だけです。

もっとツッコめば必ず効果がでる

と考えるのは、マルチにはまったりギャンブルにはまるのと全く同じじゃないですか。

↑コレコレ、これだ!!!

負けが込んで、「クッソー、もっとツッコんでやる。この台はきっと出るはずだ」
いまのコロナ対策はこんな感じに見えます。

しかし、日本ではこんなことは普通にあります。例を挙げましょう。

売れないのは営業に根性がないからだ

ブラックな営業会社(しかも潰れる)によくあるパターンです。

「売れないのはお前たちに根性がないからだ。毎日のアポ電話を明日から3倍にしろ

と言うヤツですね。実はわたとしがいた頃のリクルートもそういう側面がありました。しかし、死ぬほどアポ取り電話をしても売れないサービスはやはり売れないのです。それはなぜか・・・

そのサービスに魅力がないのです

ニーズがないか、あっても価格が不当に高いか、強い競合がいてすでにマーケットを占有しているのか。いろいろな理由がありますが、営業活動して売れない物は、営業活動を2倍、3倍にしても売れません。昔はアウトバウンドの営業が盛んで新車の営業も家々をけっこう回ってきましたが、現在はほとんど来ません。営業コストが合わないからですね。

売れないのであれば、どうして売れないのかを解析して売れるものに仕上げていく。これがマーケティングです。

Twitterのフォロワーを増やしたいので・・・・

別に増えなくてもいいやという人はそれで良いのですが、やはりフォロワーは多い方がいいと考えて、とにかくなんでもツイートする。ブログも同じでアクセスが欲しいからとにかく記事量を増やそうと、今日の昼飯から政治に対する不満まで毎日投稿する。しかし100記事になっても200記事になってもアクセスが増えない。何年やってもTwitterのフォロワーは100人くらい。

書いてること、ツイートしてることが求められていないのです

面白かったり役に立つならみんなだんだん楽しみに待つようになります。ならないのは魅力が無いのです。本来なら「自分の書いていることはつまらないのでないか」と考えて、「人が面白いと思うことは何か」に発展していくものです。それをしないで「文章を長くしよう」「1日に必ず2本投稿しよう」と考えるのはバカの証拠ですよね。本当に面白かったら半年もしたらかならずバズります。

わたしのアシスタントの由良さんが実際にTwitterでフォロワー1万人を獲得するまでのノウハウです
ただのワーママでも出来る!Twitterフォロワー1万人達成までにやったこと全て公開します

ガラケーに機能をできる限り詰め込んだらスマホに乗り遅れた

もう忘れた方もいるかもしれませんが、iPhoneの前には日本にはガラケー分化がありました。私も持ってましたがとにかくいろいろな機能が付いている。わたしも使ってましたが最後の方のFOMAなんて機能の1/3くらいしか使って無かった。

日本のメーカーさんは、ユーザーにアンケートを採ります。そうするとだいたい「こういう機能がほしい」「ああいう機能が欲しい」と上がってくるので「それを全部載せたら売れるだろう」と考えたのです。11年前にこんなこと書いてました。

ガラケーからスマホの怒濤の流れで割を食ったサービス|More Access! More Fun
ガラケーからスマホの怒濤の流れで割を食ったサービス - 永江一石のITマーケティング日記

ガラケー、つまりガラパゴス携帯と言われるように、日本のメーカーはフォーチャーフォンにどんどん機能を載せていった。多くの機能はほとんどのユーザーには使われなかった。そして、機能は自分でカスタマイズできる、最初はドンガラでなにもはいっていないスマートフォンが出てきて駆逐された。

機能は足せば足すほど売れるようになる

と信じた結果だと思います。売れなくなってきたらどうして売れなくなってきたかを考えなかったし、家電メーカーにはそこまで柔軟な思想は無かった。というより上が分からないから下もやる気をなくした。

大切なのは選択と集中という思想

マーケティングの基本ですが・・・

PDCAを回すというのがあります。

(1)仮説を立てて
(2)実行して
(3)分析して
(4)再仮説を立てる

失敗する人はこれをしない。特に3番目の「分析」をしない。コロナ対策でもこれをまったくしない。「失敗した」ということにするわけにはいかないので無理矢理成功したことにして「もうこれがなかったらもっと感染拡大していた」という証拠もファクトもない単なる感想を付け加えて、結果ありきで成功したことにする。こうするから次も同じことをするためになり、効果が出ないから「手法は正しいはずだからもっとツッコめ」になって今に至ります。美術館や博物館や公園、デパートを閉めたり、馬鹿なことをてんこ盛りで「全部詰めたらきっと効果が出るに違いない」で小池百合子のコロナ対策は末期のガラケー開発者です。ww

全部ツッコもうとするとリソースが必要になる。コロナ対策ではズバリ予算です。ロックダウンを2ヶ月したら40兆円くらい飛ぶが、これを補償できるだけの予算はあるわけもない。リソースは決まってるのであれば広く広く手を広げれば広げるほどわけがわからなくなる。

きちんと分析をして
もっとも効果が確認された部分に
できる限りのリソースを投入する

これが戦争の基本でもあるわけです。そのためにはPDCAの「分析」ができないといけない。ビジネスでもコロナ対策でも受験勉強でも、スポーツの練習でも趣味でもみんな同じ。プロスポーツ選手なら筋トレからイメトレ、実際の練習まで1日中やっていられるが、普通の人はそんなリソースはないから上達しようと思えばもっとも効果的なものにリソースを振り分けます。

ビジネスの例を出すとみんなわかるのに、コロナについてだけわからないのはおそらく

学者は学問のプロだが実務の素人
政治家は選挙のプロだが実務の素人
多くの国民は言われたことだけしていた層

で、自分の頭で考えてもっとも効果的な手法を考え出すことができないと思うのです。
コロナ禍って本当に勉強になりますね。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2021年5月13日の記事より転載させていただきました。