テロ組織を庇う日本のマスメディアの欺瞞

sameer chogale/iStock

中山泰秀・防衛副大臣のツイートが「炎上」したらしい。そう報じた毎日新聞の記事「中山泰秀副防衛相のツイッター『炎上』 中東衝突めぐる投稿で」(5月12日)を借りよう。

中山泰秀副防衛相のツイッター「炎上」 中東衝突めぐる投稿で | 毎日新聞
 中山泰秀副防衛相は12日、イスラエルとパレスチナの衝突激化を受け、自身のツイッターに「イスラエルにはテロリストから自国を守る権利があります」と書き込んだ。根深い中東和平問題でイスラエル側に肩入れする姿勢と受け止められ、中山氏のツイッターは「炎上」状態になった。

中山泰秀副防衛相は12日、イスラエルとパレスチナの衝突激化を受け、自身のツイッターに「イスラエルにはテロリストから自国を守る権利があります」と書き込んだ。根深い中東和平問題でイスラエル側に肩入れする姿勢と受け止められ、中山氏のツイッターは「炎上」状態になった。

「受け止められ」と受け身で書いているが、毎日自身がそう受け止め、「炎上」に油を注いでいる。現に記事は「パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがロケット弾を発射し、イスラエル軍は報復措置としてガザ地区を空爆」とも書いた。

いや、毎日だけではない。朝日新聞も、「しんぶん赤旗」も、共同通信社もみな、ハマスを「イスラム組織」と書いているが、それでは真実の報道にならない。最低でも、NHKや日経、産経のように「イスラム原理主義組織」と報ずべきであろう。

ハマスは単なる「イスラム組織」ではない。武装したテロ組織である。

べつに私の個人的見解ではない。日本政府もそう認識している。事実、過去の答弁書で「政府としては、ハマスを平成十五年九月三十日の閣議了解によりテロリスト等に対する資産凍結等の措置の対象となったテロリスト等一団体と認識している」と明記した(内閣衆質171第58号・平成21年2月3日)。

公安調査庁が発刊する「国際テロリズム要覧2020」でも、ハマス(HAMAS)は「国際テロ組織」と紹介されている。それも「武装闘争によるイスラム国家樹立を目的として設立した武装組織である」として。

同様に、アメリカ合衆国政府もハマスを「海外テロ組織」(FTO)に指定している(1997年10月8日)。

だが残念ながら、ハマスをテロ組織と報じるマスメディアは日本にない。飯山陽(イスラム思想研究者)氏のnote「拝啓 中山泰秀副防衛相」を借りよう。

拝啓 中山泰秀副防衛相|飯山陽|note
こんにちは、はじめまして。中東イスラム研究をしている飯山陽と申します。 毎日新聞の「中山泰秀副防衛相のツイッター『炎上』 中東衝突めぐる投稿で」というタイトルの記事を読みました。 中山泰秀副防衛相のツイッター「炎上」 中東衝突めぐる投稿で | 毎日新聞  中山泰秀副防衛相は12日、イスラエルとパレ...

彼らはハマスが多くの国によってテロ組織指定されている事実だけでなく、ハマスがガザ市民に対する国際的な支援金、支援物資を横領し、学校や病院や道路がつくられるはずの鉄やセメントを使ってイスラエルを攻撃するためのトンネルやロケット弾の発射施設を作ったり、幹部が豪邸を建て贅沢な暮らしをしていることを伝えません。

また、ハマスはわざと学校や病院を攻撃の基地や拠点とし、そこをイスラエルが空爆するよう仕向け、イスラエルは無辜の市民を虐殺したと主張し、その映像を大手メディアに撮影させ、世界に配信させることにより、世界中の人々にイスラエルに対する嫌悪、敵意を広め、ハマスはかわいそうなパレスチナ人を守る正義の戦士なのだというイメージを広めさせています。

ハマスはメディアのやり方を熟知し、それを戦略の一環として利用しているのです。

このやり方は、実にうまく機能しています。実際、毎日新聞など日本のメディアはハマスの思う通りの「イスラエルが悪い、イスラエルこそ諸悪の根源」という報道をし続け、それしか知らない日本人もそのイメージを固定化させています。

(中略)

ハマスがテロを続けるのは、テロを続けることで世界のメディアがハマスを称賛し、世界中の人々のパレスチナへの同情とイスラエルへの非難を強めることができると熟知しているからです。

そのとおり。まさに我が意を得たり。

上述の毎日記事は、ハマスを単に「イスラム組織」と報じながら、イスラエルの自衛権行使を「イスラエル軍は報復措置としてガザ地区を空爆」と書いた。だが、中山副大臣がツイートしたとおり「イスラエルにはテロリストから自国を守る権利」がある。国際法上の正当な自衛権行使であり、単なる「報復措置」ではない。バイデン米大統領もそう明言した。ドイツのメルケル首相もそう明言した。ハマスのテロ攻撃を厳しく非難し、はっきりとイスラエルへの連帯を表明した。

あえて、毎日の記事を借りよう。

中山氏はイスラエル軍がツイッターで発信したロケット弾攻撃による国内被害地の映像を添付し、「あなたならどうしますか? ある日突然24時間で300発以上のロケット弾がテロリストによって撃ち込まれ、愛する家族の命や、家を奪われたら」と記述。「最初にロケット弾を一般市民に向け撃ったのは一体誰だったのか」とも指摘し、「私達の心はイスラエルと共にあります」と結んだ。

以上のどこが問題なのか。私にはまるでわからない。テロ組織ハマスが突然、イスラエルという主権国家にロケット弾を撃ちこんだ。

なのに、日本の政府もマスコミも、喧嘩両成敗のごとく振る舞っている。あるいは高み見物を決め込んでいる。中山氏のごとく旗幟を鮮明した政府高官を私は他に知らない。みなこぞって、だんまりを決め込む。

メデイアも同罪だ。中山氏を擁護した言論人を、私は飯山氏以外、知らない。

以上の拙稿も「イスラエル側に肩入れする姿勢」と受け止められ、炎上するのだろうか。

ならば「炎上」上等である。私は一歩も引かない。