緊急事態宣言再延長なら飲食店とともに立ち上がれ --- 杉知 一

東京の緊急事態宣言が6月に入っても更に延長されそうです。ところがその反面、東京五輪は強行開催に向けて突き進んでいるという、目を覆わんばかりの矛盾、そして欺瞞がまかり通っています。これまでさんざん自治体の首長や政府、そしてマスコミによる理不尽な仕打ちを耐え忍んできた飲食業界の皆さんは、宣言が再延長されるこのタイミングで、今こそ立ち上がるべき時です。

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小池都知事が五輪返上の意思を表明しない限り、6月1日になったら居酒屋の皆さんは堂々と胸を張って営業を再開しましょう!それ以外の業態の飲食店も、この日から一斉にアルコールの提供を再開するのです。要請に従う条件として、五輪の中止を求めるのです。自粛要請の実効性が科学的に一向に顧みられない以上、その対極に位置する五輪強行を、このままおとなしく受け入れるわけにはいかないじゃないですか!

これは飲食業従事者の皆さんばかりでなく、そのお客さんである私たちオフィスワーカー、そして医療従事者の皆さんまで含めた都民(国民)の総意としての意思表示に他なりません。この反乱に東京都や政府与党、そしてマスコミ勢は(ようやく)慌てふためき、右往左往することになるでしょう。それでいいのです。いや、そうしなければならないのです。

このまま開幕直前までズルズルと延長された宣言による消耗戦を続けたあげく、それでもしれっと強行開催された五輪の期間中や閉幕後に待ち受ける、多くの犠牲を伴うであろう取り返しのつかない事態を招いた責任を、一体誰が負うというのでしょうか?

これがもし五輪が無い状態の東京で起きたら、それは不可抗力ということでまだ諦めもつこうというもの。しかしこれが「五輪後」の出来事となれば、「もしあの時やめていれば…」という悔恨の念と共に、「TOKYO 2020」は「悲劇の五輪」として後世に語り継がれることでしょう。

そんな悪夢のシナリオを変えるための第一歩が、「6月の自粛要請こぞってガン無視」です。これでまず感染症対策としての宣言の無意味さ、効力の無さが誰の目にもはっきりします。そうなれば、7月に都議選を控えている小池都知事は、告示日までのベストなタイミングで、意外にあっさりと五輪返上という「伝家の宝刀」を抜くかもしれません。何しろこれで次の改選までの小池都政の安泰、そして彼女の人気は(またしても)決定的になるのですから。

では、それでも彼女が都議選を捨ててまで五輪決行に踏み切ったらどうなるでしょうか? これまでの4度の感染拡大の実績から導かれる波の周期からすると、五輪期間中から閉幕直後の時期に第5波のピークが重なる可能性は素人目にみても相当に高いと思います。

そうなれば、「波」との因果関係の有無に関わらず、五輪を返上しなかった彼女の結果責任は、どうみても避けられないでしょう。彼女が自らの政治生命を考えた場合、五輪を生贄とするか、それとも心中相手とするかに注目しています。前者の選択を後押しする行動として、6月の自粛要請に従わないのは非常に大きな意味を持つと思います。

多くの方々の決断を期待します。

杉知 一
ITエンジニア(SE)。都内の情報サービス会社に勤務する51歳。一男一女の父。