テレビをはじめとするマスメディアの新型コロナ報道を見て、違和感を覚えることがある。
それは、「イギリス株」「南アフリカ株」「ブラジル株」「インド株」などの呼称で変異株を紹介しているのであるが、そこに「従来株」との名称があることだ。従来株とは何か。それは、変異前のウイルスのことである。変異前のウイルスはどこで発生したのか。
一般的に言われているのは、中国・武漢であろう。であるならば、マスメディアは「中国株」とか「中国武漢株」せめて「従来株(中国株)」などと記すべきではないか。これは何も、中国を過度に貶めたいとか、非難したいとか、そういう意味で主張しているわけではない。
例えば「武漢肺炎」との呼称は、中華民国(台湾)や香港・韓国の一部メディアでもこれまで使用されてきた。ならば従来株を「武漢株」や「中国株」と日本のマスメディアが報道しても良いではないか。それをなぜしないのであろうか?
ひとつは「世界保健機関が、人間に感染する新たな感染症やウイルスの名称に、地域・人名などを含めないと規定していることに配慮して」と日本のマスメディアは言うかもしれない。「固有の国名や地名を付けたら、その国に住む人への差別に繋がる」と主張するかもしれない。しかし、それはおかしな主張であろう。
「イギリス株」「南アフリカ株」「ブラジル株」「インド株」と散々、中国以外の固有の国名を挙げて、日本のマスメディアは報道しているからだ。それらの国々の人々への差別の心配はしないのだろうか、どうでもよいのであろうか。日本のマスメディアは、明らかに偏っているとしか言いようがない。
従来株を「中国株」と報道しない理由は、中国からのクレームを恐れているのであろうか。もしくは「従来株」と表記した方が分かりやすいからとのつまらぬ理由であろうか。または、新型コロナは中国で発生したと決めつけることができないからとの理由か(2019年にイタリアで新型コロナが広がっていたとの説もある)。
私は、日本のマスメディアが「中国株」と表記せず、「従来株」と報道するのは、このうちのどれかだと推測している。