〜 私が抗議デモでマイクを握った理由と「差別」濫用への懸念について 〜
こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
各党から党内手続きの結果が報告され、端的に言うと報道の通り「自民党次第」という状況となっています。
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そんな中、自民党本部前では「LGBT抗議差別デモ」が行われています。
率直に申し上げて、私は国会前などで行われるこうした抗議・デモ活動には一貫して消極的でした。特に一般人ならまだしも、国会議員なら他にやることあるでしょ、パフォーマンスしてんじゃないよと。
それでも敢えて今回マイクを取ったのは、2つほどお伝えしたいことがあったからです。
■今回の法案は、考え方や立場の違いを乗り越え、「対話」をして成立を目指すべきものである
デモンストレーションなどの活動は得てして、同じ考え方を持つ人たちが集まって「確かめ合う」場になりがちです。それはそれで意味のあることですが、それ「だけ」ではやはり社会は大きく変わりません。
普段は仲が悪いくらい立場や思想信条の異なる人同士が集まり、対話をし、少しずつ違いを乗り越えて歩み寄って成立させる。
■自民党本部前での抗議デモだが、自民にも賛成派議員は沢山いる
前段とも関係することですが、自民党内にも賛成・推進派はいます。
なのでハッシュタグにあるような「自民党には投票しません!」という主張を前面に出して、そこに他の野党が乗っかってくると「党派対立」になってしまい、法案成立や運動にマイナスになる恐れがあります。
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最後に、本LGBT法案に「差別は許されない」という文言が入ったことにより、
「差別の定義が定かではない」
「政治運動に利用されるのではないか」
という懸念点が上がっている点について。
私自身、同性婚について自分の主張・言説を著名な憲法学者に「差別」と断じられた経験から、この「差別の濫用」については誰よりも懸念を強く持っている一人です。本法案への不安は決して小さくありません。
この点はゲイ当事者である松浦大悟さんも私の事例を挙げて指摘している課題点ですので、こちらの論考もぜひお読みいただければと思います。
ただ一方で、完璧ではないとしても、本法案の文面には一定の配慮もなされています。
「差別は許されない」という文章の前段には「全ての国民が」と明記されています。つまり本法案で尊重される・差別が許されないのはLGBT・性的少数者に「限らず」全ての国民です。
例えばトランスジェンダー当事者のトイレ利用問題について、仮にそれが「女性側」に不利益を与えているのであれば、「差別」として一方の意見だけが聞き入れられるのはおかしいということになります。
これですべての懸念が解消されているわけではありませんが、本法案は自民党案がベースとなっていることもあり、それなりにバランスの取れたものになっています。
懸念点については引き続き注視・議論を継続していくとして、当事者の方々置かれている現状や社会情勢に鑑み、やはり本法案の成立は今国会で成し遂げるべきだと私は判断しています。
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会期末は6月16日。議員立法の審議はここからがむしろ過渡期であり、自民党の決断次第でやり方はいくらでもあると思います。
自民党に対しては強いプレッシャーを感じてもらいつつも、過度な対立に陥らないよう、法案の成立という形での決着を目指して尽力を続けて参ります。
それでは、また明日。