本当にヘルパーさんがいないんです。完全他人介護体制に移行してもうすぐ3年、ヘルパーさんに余裕があった試しがない。いつもギリギリ、ヘルパーさんに無理させて我々家族の生活は成り立っている。看護師に助けてもらうこともしばしば、頭が下がります。
私はサービス業のプロを自認しています。その私から見て重度障害者への訪問サービスは極めて難易度の高い仕事です。しかし同時に究極のサービス業と言ってもいい、とんでもないやりがいのある仕事です。間違いなく人生観が変わるほどの経験が出来ます。最高のホスピタリティとプロフェッショナルな介護技術が身に付きます。人と人の関係に対する感覚が研ぎ澄まされます。人の可能性を信じられます。正直最初の戸惑いさえ乗り越えれば、必ずやりがいを見出せる仕事です。
多分私が人間的に小さく弱いんです。頭に血が昇ることもあるし、他人との価値観の違いを受け入れられないこともあります。そのすれ違いが介護者の離職につながることもあります。けれども我々障害者は仙人でも仏でもありません。同じ人間です。未熟なのが人間の本質だと私は思っています。そして未熟な自分を認めて成熟に向かうのが人生です。少なくとも私はそう考えて生きてます。またチーム恩田は私の弱さを許容してくれてます。
動けない喋れない私の正体を、ALSになってからの私しか知らない人に伝えるのははっきり言ってほぼ不可能です。どれだけ文字を並べても曲解されることもしばしば、私も人間ですから凹みます。
なぜ障害者の立場はこんなに弱いのだろう?弱さを見せるのはお互い様ではないのか?
というわけで私がまだ喋れた時に受けた実質最後のインタビューを紹介します。聞き手はジャーナリストの木村元彦さん、2015年2月の記事で生い立ちからALS発症までを客観的かつ詳細に書いてくれてます。是非私を知らない方はご一読ください。
こんな私のヘルパーしてみませんか?私に限らず人には必ず人生のストーリーがあります。ヘルパーという仕事はそのストーリーを前向きにひっくり返す尊い仕事です。無資格からでも出来ます!あなたのチャレンジ待ってます!
チーム恩田へ感謝を込めて。
(世界ALSデー月間特別寄稿①)
この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ元社長)のブログ「ALSと共に生きる恩田聖敬のブログ」2021年6月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。