「女系天皇も憲法上は容認」発言に異議あり

加藤勝信官房長官は6月2日の衆院内閣委員会で、安定的な皇位継承策を巡り、母方が天皇の血筋を引く女系天皇も憲法上は認められるとの見解を示した。

天皇皇后両陛下と 愛子内親王 宮内庁HPより

同時に、皇室典範は皇位継承者を男系男子に限定していると説明し、父方が血筋を引く男系継承が「古来例外なく維持されてきた重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある」と強調した。

しかし、私はこの官房長官の発言から、将来的には女系天皇を誕生させても良いとする菅政権の意向を読み取った。官房長官という政府高官の発言なのだ。菅義偉首相も同じ考えだと見て良いだろう。

確かに日本国憲法第2条には、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」とあり、男性でなければならないとは書かれていない。加藤氏は、そうした意味で、女系天皇も憲法上は認められるとの見解を示したのだろうが、女系天皇の誕生も将来的にはやむなしとの政府の思惑を私は感じるのだ。

その証拠に、加藤氏が旧宮家(旧皇族)の皇籍復帰については、男系男子子孫への意思確認は考えていないとの意向を改めて表明したことも挙げられよう。安定的な皇位継承策の第一は、旧宮家の皇籍復帰である。

だが、男系男子子孫への意思確認をしないという事は、その策をとらないという意思表示といって良い。そうなると、加藤氏の冒頭発言を考えるに、口では「古来例外なく維持されてきた重みなどを踏まえながら」などと言いつつも、やはり、女系天皇への道を開きたいのだなと考えざるを得ない。

女系天皇の誕生は、王朝の交代を意味するものである(共産党は「女性天皇も女系天皇も認めるべきだ」と言っているが、女性天皇の誕生も、場合によっては女系天皇への道を開きかねない)。

秋篠宮家 宮内庁HPより

現在、小室圭氏の問題が話題を集めているが、例えば、眞子内親王と小室さんが結婚され、その男子が天皇に即位したとしよう。それは王朝の交代を意味するものなのだ。「小室王朝」の誕生である。それを多くの国民は許容する事ができるか?おそらく、できないだろう。私は、小室さんが人格者であったとしても、このような事態は避けなければいけないと考えている。王朝の交代は、避けなければいけないからだ。

女性宮家も、女性天皇も、そして何より女系天皇も、皇室の廃絶に繋がりかねない問題なのである。古来例外なく維持されてきた重みを踏まえるなら、女系天皇の回避に向けて動き出すのが、保守のあるべき姿なのだ。