小池百合子東京都知事。私の実家は東京10区にあり、小池氏のおひざ元であることから小池氏が国会議員時代の地元議員の応援演説や池袋での遊説という場所柄を含め、身近な存在でありました。その小池氏、不思議な方であり、氏の身近にいた方は苦い思いをされている方が多いように感じますが、劇場型演出を人生で演じていることもあり、国民や都民の人気は高い水準を維持してきたように見えます。
一方、人間的にどうなのか、といえば公開情報から私が垣間見る限り、そばに寄りたくはないタイプであります。理由は「恩を仇で返す」からです。彼女は天動説型で全てが自己都合で過去を何でも好きに書き換えられる便利なメモリー機能を持っています。そして得意技は口。「あぁ言えばこういう」はお手のもの、いざとなればわけがわからない英語が飛び出します。しかし、カイロ大学卒業ならアラビア語でしゃべってもらいたいものですがね。
マスコミも小池氏の荒探しはあまりしないように見受けられます。理由は抹殺されるからだとみています。つまり記者も編集者も出版社も恐ろしくて書けない、だから「女帝」などと言われるのでしょう。
小池氏の過去をそれなりに再度チェックしてみました。そのうえで彼女の性格と行動パタンから次の一手を占ってみたいと思います。
まず、目立ちたがり屋で自分の功績となるものに非常にハングリーな性格からすれば東京オリンピックは本筋からすれば自分がセンターステージに立ちたいところであります。ところがコロナ禍でそれが自分にとってメリットあるのか、デメリットなのか判断できない、それがこのところの「だんまり」なのだろうと思います。本心はやりたい、だけどやると言えば高齢者が多い東京都の有権者を敵に回す、よって、ここは静かにすることが得策だと考えている節があります。そうだとすれば小池氏はコロナ対策や飲食店など困っている自営業者のことよりも自分の保身を第一主義にしているようにも見えます。
今のムードからすればオリンピックは何らかの形で行われそうですが、それが終わった時点で小池氏の都政への興味と熱意は維持できるのか、これが私の疑問です。彼女には人を押しのけてでも上に行くことしか頭にありません。留学時代、エジプトのピラミッドの上で着物を着た写真を撮ったのも頂上という象徴でありました。その点からすれば都知事の上は総理しかないはずです。
彼女は政治家ではなく、タレント素養だと思います。名を売るための政治であり、政治家を踏み台にし、舛添、細川、小泉、小沢、前原、安倍各氏らを怒らせました。いや、もっと言えば短期間であるけれど学生時代に結婚したとされる相手さえ利用しました。「政界の渡り鳥」と言われるのは逆に言えば口のウマいタレントに政界を代表する人たちが掌の上でコロコロされてしまった、ということでしょう。
では今、コロコロされているのは誰か、といえば二階さんに見えます。但し、感性が鋭い彼女としては踏み台としてそろそろガタが来ていると感じ取っているはずで、私の予想が正しければこの秋が彼女の次のサプライズ(=ちゃぶ台返し)になるような感じがします。
もうひとつ、都知事に留まらない可能性を感じている理由は7月の都知事選で都民ファの劣勢が見込まれ、議会において自分が居心地の良い場所とならなければ、彼女にとってモチベーションが下がるからです。
では総理を狙うルートはあるのか、これは私にはわかりません。パッと見た限りではなさそうです。秋の衆議院選挙に打って出るには都知事を辞め、何らかの形で立候補するする必要があります。私が考え得る可能性のひとつは最近ブレの見える枝野氏率いる立憲から将来の党首含みでの挑戦でしょうか?政策的には維新の方が良いのですが、そもそもポリシー無き政治家であまのじゃくの性格、かつ弱いところに入り込み、巣を作るのが得意ですから立憲はおいしそうに見えるかもしれません。もう一つは仮に自民党が分裂した場合、分裂した側につくというのもアリです。あらゆるオプションをテーブルの上に広げ、そのタイミングを鷹のような鋭い目でチャンスを狙っているともいえます。
もちろん私の大胆予測こそ奇をてらったところだと思いますが、彼女の人生はすべてがあり得ない展開で進んでいること、日本で最初の女性総理を狙っているであろうことは容易に想像がつくのでいつまでも都知事に留まるのは不自然に見えるのです。もちろん、彼女の野望が10代、20代の時のようにがっついたものではなく、都知事が頂上として十分だ、と思い始めているかもしれません。今のポジションを捨てて更にビッグチャレンジするには手持ちカードは十分ではないかもしれません。
最後に、お前は昔、小池百合子をイチオシしていたじゃないか、という件ですが、都知事としての役割、特にコロナ対策における都知事の腕前を見ていて個人的に「がっかりした」と申し上げておきます。ただ、小池百合子人気は根強いものがあり、仮にどんなレベルの発言をしようと熱狂的なファンとマスコミをうまく引き込めば小池劇場の満員御礼は続くのでしょう。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年6月7日の記事より転載させていただきました。