G7が開幕しました。ようやく首脳が集まって会議をすることができるという意味では私は感無量です。これから紆余曲折しながらも世界経済は回復に向かいます。カナダとアメリカの国境も遠くないうちに開きそうな気配となっており、カナダ入国の際の隔離制限も大幅な緩和案が前向きに検討されています。日本はパラリンピック閉会後の9月から10月にかけて国際間の動きが緩和されていくのでしょうか?もう少しの辛抱です。
では今週のつぶやきをお送りします。
世界相場観
株価の動きが鈍くなっています。北米でも同様で一日のトレンドすら維持できない状態が続いており、いわゆる「方向感なし」の状態になっています。理由は材料難で企業からも産業界からも特に刺激あるニュースはなく、7月に入れば夏休みが控えることもあります。逆に「閑散に売りなし」という株式格言もありあまり心配する状況にはないとみています。ミーム銘柄は壊れやすいおもちゃですので触らないに越したことはありません。
ビットコインも高値からほぼ半値になりその後の居所探しにあります。暗号資産を取り巻く環境は厳しく、包囲網がありますのでビットコインを正当化して買い上がるにはそれなりのネタが必要でしょう。私も最近は買い替え銘柄の選定に苦労していますが、20年代の産業を考えるとやはり電気自動車、そして電池は材料であるわけで今週は以前から持っていた全個体電池を開発しているあるアメリカの新興企業の株を買い増しています。この会社はVWも出資しており、全個体電池開発では先頭集団にいます。
一方、株式専門家は化石燃料、原油関連銘柄が上昇している理由がわからないと言っています。私はそれなりの投資残があります。カーボンゼロと対立した関係にあり、機関投資家が投資を避けるという見解となっています。ただ、カーボンゼロの話は今から30年後の目標の話であることと投資家がシェールオイル採掘に金を出さなくなるので原油の新規開拓が少なくなれば原油価格は上がりやすくなる視点は忘れてはなりません。これが投資の表裏というものです。
議員連盟党を作ったら?
安倍、麻生、甘利の各氏のイニシャルを取って3Aと称するそうです。その仮想敵対相手は二階幹事長。直接の引き金は二階氏が「自由で開かれたインド太平洋」構想の議員連盟の議長に就任する見込みであることへの強烈なけん制でありました。自民党幹事長へ直接的な意見が重鎮から出たのは内部の軋みともいえそうです。
3Aは政局を見ながら自らの影響力を残すための活動展開をこの夏に繰り広げるはずで事の成り行きによっては自民の二分化はいつか本当に起こりうる可能性もある気がします。以前から何度も指摘しているように現在の自民党の体質は現代社会にマッチしておらず、かといって有力な対抗馬がないことでそっぽを向く国民と政治家の「デカップリング」状態が起きているとみています。今、政界は議員連盟が大流行。超党派の連盟もあるわけでいっそのこと、既存政党を止めて議員連盟党にしたらどうでしょうかね?
それにしても野党も野党で、先日の党首討論会も冴えない内容でした。特に首相と枝野氏の対決はあくびが出るほど双方盛り上がらないものでした。維新の片山氏の五輪を巡っての「小池氏が出ないといけない」発言が一番印象に残っています。共産の志位氏に関しては「五輪がリスクゼロにならない、だから命をリスクにさらしている」という論理展開をしたら石橋を100回叩いてもやっぱり渡らないというのと同じです。リスクを評価し、そのベストの対策を考えるのが政治家です。
東芝と経済産業省
東芝の20年7月の定時株主総会が公正に開催されていないのではないか、という筆頭株主のエフィッシモからの株主提案が可決され、その調査報告書を3カ月でまとめ、株主総会の議論対象になることが可決されたのが今年3月。これだけでも画期的判断とされたのにその調査書から生々しい東芝と経産省の関係が暴露されてしまいました。これは東芝のみならず日本のガバナンスのあり方に世界が注目することになると思います。
この行方の想像をするのはたやすくないと思いますが、全ての責任を車谷前CEOに押し付けるのには無理がありそうです。東芝劇場がまた始まる公算があり、今回は経産省の官僚だけではなく、政界に影響がどれぐらい出るかも注目です。特に車谷氏は菅総理が官房長官時代に会っており、その時になにか話が合ったのではないか、という件も総理は完全否定しているものの、その展開が注目されます。
似たような話は日産がルノーとの問題が話題になった際もあり、主役と司令塔はいったい誰なのだろうと実態がよく見えないバトルだった記憶があります。あの時はフランス政府がルノーの株主ということもあり、国同士の戦いのようにも思えましたが、今回は一民間企業の話ですので神経質にならざるを得ないと思います。私は物言う株主が怖いのではなく、経営スタンスに関して世界基準と日本基準のギャップを日本の経営陣が軽く見過ぎている気がします。上場企業である以上、誰が株主になってもおかしくなく、そこには日本基準などはないということは肝に銘じるべきでしょう。
後記
様々な報道に接し、意見が合わず、バトルになっているニュースが目立つ気がします。私の周りでも意見のすれ違いが増えています。COVIDでイライラしストレスが溜まっていることもあるでしょう。ただ、それ以上にコミュニケーションがSNS主体になり、十分な相互理解が出来ていないことも原因のような気がします。私の当面の対策はきちんと説明し、理解をしてもらうことです。問題は読み手がきちんと読解するかどうかなのですけどね。メールでもはじめの1行しか読まないで反応があったケースもあり、「おいおい」ということもありました。きちんと理解しあうことに努める、簡単なことですが、一番、欠けている現代の問題点です。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年6月12日の記事より転載させていただきました。