なぜ飲食店ばかりが制限され続けるのか

東京都など、「緊急事態宣言」が解除されました。他の業種に比べても、飲食店は大きな制限を伴った営業を強いられています。

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現在は「まん延防止等重点措置」に移行していますが、医師会など医療の専門家から「第5波」を懸念する声があがっています。

じっさい、前回の緊急事態宣言よりも感染者が減っている状態で宣言を出して意味があったのかも検討されていません。

そして、飲食業界に負担を押し付けてながら、国や自治体から納得のいく説明がなされているとは言いがたいです。それ以上に東京への流入人口のほうがはるかに問題だとの指摘もなされています。
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再び拡大した場合は躊躇せず対処する

菅首相は会見で、「感染が再拡大し、医療が逼迫した場合、酒類提供の一律停止やイベントの厳格な開催制限などで機動的に対処する」と述べています。また、以前は「経路不明の感染原因の多くは、飲食によるものと専門家が指摘をしております」と発言しています。
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少しずつ回復してきっところで3度目の「緊急事態宣言」が出され、飲食業界では閉店や廃業が相次ぎ、雇用も守れなくなっています。そして、それに連鎖して生産者や卸といった流通業者も耐えられなくなってきており、その経済的損失は膨大です。

族議員がいない

飲食業界には、他の業界と比べて、有力な政治家がいないという現実があります。食材なら農林族の政治家がいますが、飲食業界にそれに当たる政治家はいません。ゆえに飲食店に負担を押し付けるとい問題点が認識されません。飲食店のオーナーは、個人が多く、また独立独歩のため、業界団体が大きくなりにくい面もあります。

飲食店では、パーテーションや検温、アルコール消毒をしっかりと行っています。じっさいに一般的な飲食店がクラスターになるケースは少ないと言われています。

「国立感染症研究所感染症疫学センター」の専門チームによるクラスター解析でも、飲食店に対しての指摘は「カラオケを伴う飲食店」「接待を伴う飲食店」にとどまっており、一般的な飲食店は含まれていないと言われています。
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また、飲食店側の対策と利用客側の利用法はセットでなければ感染拡大を防ぐことはできないのに、声をあげられない業界側に責任を押し付けるのは冷静さを欠いています。

行きづまる飲食店

また、活路を見出そうとしたデリバリーは儲けが少なく、手数料も高いです。また閉店するにも費用が掛かります。そもそも協力金の入金が遅れています。飲食店の資金繰りはほんとうに苦しいですし、かなりの数の飲食店が廃業を検討しています。
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場当たり的な対応の是正が求められます。