コロナ「陰謀説」こそ陰謀か?米国で日増しに強まる研究所流出説 --- 古森 義久

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

新型コロナウイルスの発生源について、中国政府や世界保健機関(WHO)は「動物から人間への自然感染」としている。しかし米国では、武漢ウイルス研究所からウイルスが流出したことを示す根拠が次々に挙げられ、「流出説」を「陰謀説」と断じた側こそ事実を隠蔽しようとしたのだとする非難が強くなってきた。同研究所でウイルスの感染力を高める研究が行われていたことや、その研究への米側からの資金供与も確認され、米国議会での論議も熱気を増してきた。

とくに注視すべきは、米国の全米科学アカデミー(NAS)、全米技術アカデミー(NAE)、全米医学アカデミー(NAM)の代表が共同で6月中旬に発表した声明である。

同声明は、新型コロナウイルスの起源について「研究所での事故」という可能性があることを指摘し、新たな科学的調査の実行を求めていた。この3組織は米国民間では最大数の科学者が集まる権威ある集団である。同声明は、調査の際は政治的干渉を排し、透明性と客観性を貫くことも要求していた。

「動物からの自然感染」説に根拠はあるのか

こうした民間の動きは、前段階としてバイデン大統領がコロナウイルスの感染源に関する再調査を政府情報機関に命令したことや、G7サミット(主要先進国7カ国会議)の首脳共同声明がWHOに再調査を求めたことも影響していた。

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