バッハ会長「大事なのは中国人」発言は痛恨の言い間違いだ

7月13日、来日中のトーマス・バッハ会長(67)が東京・晴海の東京五輪・パラリンピック組織委員会の事務所を表敬訪問し、橋本聖子会長らと面会した。その席上、バッハ会長が「最も大事なのはチャイニーズピープル(中国人)」と発言したことが話題となっている。バッハ会長はすぐに「ジャパニーズピープル(日本人)」と言い直したようだが、ネット上は、怒りの声で溢れている。

トーマス・バッハ会長 IOCより

確かにこれは言い間違いの類で、目くじらを立てるのほどではないのかもしれない。が、しかし、このような大事な時、東京五輪の開催が日本人の間でも議論されているような時に「日本人」を「中国人」と言い間違えるようでは、緊張感が足りないと言われても仕方がない。

バッハ会長の今回の発言を聞いてすぐに思い出すのは、数日前(7月8日)の5者協議における同氏の迷言である。会議冒頭で「緊急事態宣言はどういうことなのか。それが五輪・パラリンピックにどのようなインパクトをもたらすのか、お話をうかがいたい」と述べたのだ。これを今言うのか?と私は驚いた。

緊急事態宣言とは何か。それが五輪にどう影響するのか。それを知らなかったというなら、不勉強の誹りを免れないだろうし、日本の五輪組織委員会の責任でもあるのではないか。五輪組織委員会は、バッハ会長にそれらのことを詳しく説明していなかったということだろう。私は両方ともに問題があるように思う。

それはここではさておき、前述のバッハ会長の緊急事態宣言に関する発言を見たら今回の「言い間違い」が飛び出しても、何ら不思議ではないように思う。同氏は、日本(人)のことにそれほど関心がないのではないか。あるならば、日本における緊急事態宣言とはどういうものか、事前に把握しているであろう。

「緊急事態であろうが何だろうが、五輪さえできれば何でも良い」ー会長はこのように考えているのではなかろうか。バッハ会長は4月21日の記者会見で、東京都で3回目の緊急事態宣言が出されることについて「東京五輪とは関係がない」と発言したこともそれを裏付けるものだろう。

それにしても、会長は何のために来日したのか。日本人の感情を逆撫でするためではあるまい。会長としてもっと性根を入れてほしい。