「これでいいのか日本の医療」オリンピック番外編

私の予測よりも早く、今週中に東京の1日感染者数が2000を超えるかもしれない。全国の合計も今週中に5000人を超える可能性も高い。緊急事態宣言の無力化とデルタ株の影響を考えれば、科学的には何の不思議もない。

池江璃花子選手 instagramより

オリンピックの開催を前提に振り返れば、

  1. 今年初めの緊急事態宣言を1か月ほど早くすべきだったのでは?、
  2. 前回の緊急事態宣言解除はすべきではなかったのか?
  3. 水際対策が抗原検査でよかったのか?

など不可思議な決定がなされていたことは今後の検証が必要である。

ワクチンの急加速と急ブレーキは、日本のデジタル化の遅れの象徴である。4000万回のワクチンが潜在しているというが、医療関係者は、ワクチン接種の登録がアナログすぎて追い付いていないだけで、本当は接種者はもっと多いのではないかと考えている。数か月前、河野大臣が、段ボールにタブレットを置いてピントを合わせ、接種券の数字を読み込んでいた姿が報道されていたが、これは漫画的でもあった。致命的とも言えるような悲しい現実を見た気がした。

ワクチン接種者をリアルタイムで読み込むような制度設計は、1年以上前に計画すべきであったはずだが、分科会は何をしていたのであろうか?PCR検査を否定したのも分科会だったし、変異種の危険度を推し量って対策を提言するのも彼らの責任であった。尾身会長の発言など、1年前にすべき内容であったと多くの人が思っている。

国内にまん延する責任感の欠如は、日本の信頼感の低下につながっている。内閣支持率も低下の一途だ。そして、「責任」の軽さは、日本の地盤低下と連動している。こんな状況でも、与党の支持率はあまり落ちていない。批判というよりも、揚げ足取りに終始している野党への信頼の低さが与党を助けている。

与党にも野党にも欠ける「ビジョンの欠如」が、若者の無力感につながっている。日本全体のフレイル化が進行しているのではないか?

気持ちは落ち込んでいるが、 池江選手、内村選手、桃田選手には頑張って、日本の誇りを示して欲しい。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2021年7月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。