外国人は日本人より「日本の魅力」をよく理解している

黒坂岳央(くろさか たけを)です。

「日本の魅力を気づいていないのは、外国人ではなくわれわれ日本人」。

東京五輪で外国人から日本を見た印象が聞こえてくるようになって、以前よりそう感じることが増えた。テレビではやたらと「日本スゴイ」という番組が流されており、そちらはやりすぎ感は否めない。だが、それでも日本のコンテンツに魅力を感じている外国人は確かに存在する事実がある。日本には多くの課題を抱えている。しかし、こと日本文化というコンテンツにおいては、間違いなく世界に通用するクオリティだ。日本人はもっと自国の魅力に自信と誇りを持つべきである。

Motos_photography/iStock

東京五輪で日本のコンビニに夢中になる外国人

大会組織委員会によると、世界各国から約1万6000人のメディア関係者が来日しているという。一部の外国人は日本のコンビニに感激の声をあげている。カナダのCBCニュース記者のDevin Heroux氏は立て続けにセブンイレブンに感激した様子をツイートし、注目を浴びた。

同記者の他にも「おいしいケーキまで売っており、驚いた!」と喜びを隠せない様子を見せる記者もいた。国内のネットメディアも、外国人のフレッシュな反応を取り上げて話題を呼んでいる。

筆者は米国の大学に通っている時期に、大学寮の敷地内にセブンイレブンがあった。その時はおでんやおにぎりは置いてないことや、店内の雰囲気や接客応対も日本の方がクオリティが高いと感じたが、特段心に強く響く体験ではなかった。だが、その逆は違う。自国にはないハイレベルの日本のコンビニの品揃えや清潔な店内を目の当たりにすると、強い感銘を受けるものなのだ。

日本の銘菓をアメリカ人がアメリカで販売

米国ではサブスクのサービスが人気を博している。中でも人気なのが「Bokksu(ボックス)」という日本のお菓子を定期配送するサービスだ。

Bokksu delivers to your door the experience of tasting authentic Japanese snacks, candies, and teas sourced directly from centuries-old small family businesses.
(Bokksuは、日本の伝統的なお菓子、キャンディー、お茶などをお客様にお届けします。)

引用元:https://www.bokksu.com/

サービス内容はこのように紹介されており、価格は毎月支払いコースで$49.95。近所の店舗で、1つ100円前後で売られているお菓子の詰め合わせなので、日本人にはかなり割高に感じてしまう。しかし、この銘菓詰め合わせはBuzzFeedやウォール・ストリート・ジャーナルなどでも取り上げられ、よく売れているようだ。

興味深いのはこのサービスは、スタンフォード大学出身で日本の楽天でビジネスキャリアを持つDanny Taing氏がファウンダーであるという点だ。つまり、アメリカ人が起業してアメリカでアメリカ人相手に販売しているのである。日本の文化の魅力を理解し、ビジネスにしてしまうのが日本人ではなく、外国人なのだ。

日本文化を発信して成功したYouTuber

筆者の知人にユニークが人物がいる。彼は日本人なのだが、今から5年ほど前にブログ制作サービスで起業した。結論からいうと、そのビジネスは失敗に終わった。YouTubeにブログの魅力や、ビジネスについて動画を投稿するも、再生数は100回以下で更新は途絶えた。だが、その後彼は日本文化や日本の抱える課題などを英語で発信し始め、今やチャンネル登録者が50万人を超える人気YouTuberになってしまった。再生回数100万回超えの動画を連発し、彼は外国人からは大人気である。

また、筆者は海外の企業からクラウドで仕事を請けている。内容や日本のアニメやゲームについてで、先日もバングラデシュの担当者とやり取りをしていた。その際、意外なほど日本のコンテンツに精通しており、日本人が気に留めないポイントに深く感銘を受けているのが分かり、驚かされることも少なくない。

日本の魅力は日本人より外国人の方がよく理解できていると感じる。最近は何かと「日本サゲ」「日本スゴイはテレビ局が視聴率集めなウソ」という声が聞こえる。だが、実際に日本文化にまつわるビジネスの成功例を筆者が見ている限り、日本に注目する外国人は無視できる小さなレベルではない。彼ら/彼女らの心をつかめば、しっかり利益の出るビジネスになるのは間違いないのだ。

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