中国はコロナ禍で最も儲けている

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「2020年国際公共調達レポート」(ASR)がこのほど公表された。ASRは国際プロジェクトサービス機関(UNOPS)が39の国連・国際機関から提出された公共調達をまとめて作成したものだ。加盟国の持続的発展を実現するために39の国際機関が加盟国へ物資支援、技術・サービス支援などを提供してきたが、ASRはその年次報告といえる。

▲Covid-19関連公共調達でトップ10のサプライヤー国リスト(ASR報告書から)

ASRによると、昨年の国際機関による公共調達の総額は223億ドルだ。国連・国際関連機関(39機関)を通じて加盟国に医療器材、商品やサービスが提供された。その公的資金の調達総額は前年比で24億ドル増、12.3%増だ。増加の最大理由は中国武漢発の新型コロナウイルスのパンデミックに関連し、医療器材、実験テスト関連活動への公共調達(約19憶ドル)が増えたことだ。そのうち、14億ドルは国連児童基金(UNICEF)、世界保健機関(WHO)、そして国連開発計画(UNDP)の3国連機関による公共調達だ。

公共調達が前年比で最大の増加率を記録したのは新型コロナウイルス感染対策の最前線にたつWHOだ。WHOの公共調達は2019年は8億9300万ドルだったが、昨年は17憶ドルとほぼ倍化した。そのうち、43.7%はCovid -19に関連したものだ。

興味深い点は、WHOの公共調達の最大のサプライヤー(supplier 、納入業者)は中国企業だということだ。中国は2019年には890万ドルに過ぎなかったが、20年に入ると総額は2億5000万ドルとほぼ3倍に膨れ上がっている。新型コロナウイルス感染直後からWHOの中国傾斜が批判されてきたが、公共調達の統計を見る限りでは明らかだ。参考までに、中国に次いでデンマークから調達が増え、19年には7500万ドルだったが、昨年は1億7000万ドルだ。WHO最大分担国の米国からは4500万ドルから9400万ドルに増加しただけに留まっている。

参考までに、WHOに次いで公共調達の増加率が多いのはUNICEFだ。UNICEFは昨年45億ドルを公共調達に当てている。前年比で6億4200万ドル増、16.8%増を記録した。増加の最大の理由はここでもCovid関連の調達が増えたことだ。6億7000万ドルが医療品、機材の調達に投入されている。中国が最大のサプライヤーであり、それに次いでオランダ、米国だ。3カ国で4億5300万ドルになる。なお、UNDPにとってCovid -19関連で最大の調達はIT機材の購入だ(総額1億3300万ドル)だ。それに次いで医療器材だ。Covid -19関連の公共調達が急増する一方、他の分野への調達は減少した。

国連・国際機関が報告したCovid -19関連の公共調達総額は21億ドルで全公共調達額の11.5%に当たる。国連COVID-19サプライチェーン・タスクフォースなどを通じて加盟国に供給してきた。

報告書によると、国際機関によるCovid -19関連の公共調達で関係する供給国は186カ国。その中で中国は最大のサプライヤーで総額3億80万ドルだ。その額は中国にとって56.9%に当たる。そのうち医療器材は2億1500万ドル。中国に次いてデンマークは1億9900万ドル(IT関連機材の調達1憶3000万ドルを含む)。そして第3位はオーストリアで1億1000万ドルで、主に医療器材や実験用テスト機材だ。米国は8270万ドルで同国の総額14億4290万ドルの5.9%に過ぎない。すなわち、中国はCovid -19関連の公共調達でグット・ビジネスをしている一方、米国はパンデミック関連公共調達では中国から大きく引き離されていることは分かる。

世界のコロナ感染者は4日現在、累計2億人を超え、死者は約425万人となっている。中国共産党政権はウイルスの発生源を隠蔽し、パンデミックの責任を回避する一方、コロナ禍で苦慮する世界にワクチンやマスクなどを輸出し、儲けている。その際、国連機関が中国のビジネスを支援している。その現状が今回のASRの報告書で改め浮かび上がったわけだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2021年8月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。