ワクチン接種で勝ち組になろう --- 大原 誠一

新型コロナ問題については「政府にモノ申したい」人がたいへん多いようだ。しかし、筆者は国民に向けた発信がより大事な局面が来たと思っている。自粛の継続とワクチン接種の判断がポイントだ。

国内ではワクチン接種が累計で1億回を超えたという。他国より遅れて接種を始めたけれど、日本は100万接種/日以上という大変なペースを維持し、他国を抜き去ろうとしている。

K_E_N/iStock

δ株の侵入を受けて始まった第五派の感染拡大は大都市を医療崩壊一歩手前に追い込んでいるけれど、その状況でも死者数は増えていない。これは「高齢者に対するワクチン優先接種政策」が有効だったというのが専門家の見解であり、我々素人も納得できる。しかし、若い世代の感染拡大と重傷者の増加は大都市圏で病床の逼迫を生み、SNSでは医師クラスタから、悲鳴にも似た警報が鳴り響いている。

重症化から、自分の人生を守れ

野党は「命を守れ」と繰り返し主張しているが、死者数が減少した現在、日本は「命を守る」フェイズを脱し、「重症化で人生を捨てることを防げ」というフェイズに入った。コロナの重症化はそれ自体が危険なだけではなく、何種類もの後遺症を残すことが知られている。肺機能の低下は、人を「運動のできない身体」に変えてしまう。また、味覚障害は「残る人生から食べる楽しみが奪われる」リスクをもたらす。後遺症が回復する可能性がどれだけあるかはまだわからないとしても、後遺症を避けることが望ましいのは言うまでもない。また、「重症患者の苦しみはワクチンの副反応の千倍」という医師の言葉もある。

死ぬこと以外かすり傷?

「コロナはただの風邪」「リスクはインフルエンザ以下」という意見があることは承知している。本稿ではそうした意見に反論するつもりは無い。ただし、単純に「死ぬこと以外かすり傷」とは言えないのがコロナの怖いところだ。筆者は「ただの風邪でも、かからない方が良い」と考える。ましてや後遺症のリスクがあるのなら、罹らない方法を探したい。その回答は明白だ。ワクチンは感染も、重症化も防いでくれる。一部の薬品に期待する向きもいるようだけど、後遺症のリスクを考えれば、「感染してから治す」よりも「感染を予防する」方が遥かに良い。

ワクチン接種完了で勝ち組を目指そう!

だから、筆者は「コロナに感染する前にワクチンを2回射ち、2週間待って抗体ができたら勝ち組」だと思っている。そして、「勝ち組に入りたい!」という願望を国民全体に拡げたいと思っている。そのための手段がワクチンパスポートだ。

政府にはワクチンパスポートを実現してもらい、勝ち組に特典を与えて貰いたい。他の国ではワクチンの接種に際して現金を配る等のインセンティブを用意しているところもあるが、一度だけの現金よりも「自由に旅行できる」特典が欲しい。政府は飲食店がワクチンパスポートを利用して、営業時間を拡大することも認めるべきだ。人々が「自粛疲れ」に陥り、緊急事態宣言の効果が薄れて来たことからも、ワクチンパスポートで接種を促すことが重要だ。

ワクチンパスポートを「差別」だと言い募る人もいるだろう。だが、気にすることは無い。ワクチンの接種状況、接種を求める声を聴けば、ワクチンパスポートに賛成する国民の方が圧倒的に多いことがわかる。また、秋の始めには接種完了者が接種しない人の数を上回る。すると「ワクチンは危険だ」「ワクチンが感染を拡げる」と主張する人々は【ワクチンパスポートがあろうが無かろうが】出歩くべきではない状況が訪れる。何しろ、周囲はワクチン接種完了者ばかりになるのだ。ワクチン忌避者は恐ろしくて外出できなくなるだろう。

「コロナは風邪」と言っている人々も、「経済回復」が主たる目的のはず。それなら「ワクチンを接種した方が早く経済が回復する」筋道を立て、彼らを勝ち組に招き入れるべきだ。最後まで残る反ワクチンの人々は集団免疫で守るしかないが、δ株はそれを許してくれないかもしれない。それでも、ワクチン接種完了者の比率が高まれば感染リスクは減っていく。後は反ワクチンの方々の幸運を祈ることになる。

筆者は8月4日に2回目の接種を終えた。この原稿が世に出る頃には「勝ち組」になることが確定しているだろう。しかし、「だから言う」のではない。日本はコロナによる死者が少ない。コロナ渦中にオリンピックを開催し、無事にやり遂げた。これに「世界で最初に集団免疫を達成し、コロナに打ち勝った国」という称号を追加し、「日本を対コロナ戦争での勝ち組に」したいのだ。そしてそれは国民の意思で達成可能だ。一人でも多くの方が、自分自身と日本を勝ち組にする取り組みに協力していただきたいと思う。政府はそれを後押しするべきだ。

「自分の自治体ではワクチンの予約さえできない」とお嘆きの方には、Twitterで医師をフォローすることを推奨したい。熱心な医師の中には「ワクチンの余剰」や「他地域の人への接種開放」など、予約を待たずに接種を可能にしてくれる情報を毎日のように発信している人がいる。知念実希人氏(@MIKITO_777)はそうした活動に最も熱心な一人。フォローして損は無いので、是非お試しいただきたい。

安全に経済を回そう!

ワクチンを接種しても数%の感染リスクは残る。だから、筆者は今後もマスクを着用し、できる限り「StayHome」を心がける。だが、一方で「安全を前提としたGOTO事業」の早期再開は必要だ。

コロナ渦で痛めつけられた観光業界を救うには、「ワクチン接種⇒ワクチンパスポート⇒GOTO再開」という流れを創り出す必要がある。国はワクチンとマスク、三密を避ける、という「安全な旅行、安全な宿泊」の基準を明示し、観光業を救うと同時に自粛に協力した国民に「旅行の自由」を取り戻していただきたい。

大原 誠一
1984年よりA社にてゲーム開発担当ディレクター。某シリーズを担当し、当時の同ジャンルのベストセラーを生み出す。 1999年より移籍、情報システム部門に所属し、2003年より管理職を拝命。社内システムの管理、情報セキュリティ、ISO20000監査員などを担当。