アメリカ軍のアフガニスタンからの撤退の大変な見込み違い

アメリカが引けば、こうなることは分かっていたはず

時間の問題だろうな、と思っていたが、予想外に早かった、というのが正直なところだろう。

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力と力のせめぎ合いが続いている状況の中で、一方が兵を引き上げれば他方が攻め入ることは理の当然なので、アフガニスタンで今起きている状態はその筋の人たちにとっては想定内のことなのだろう。

混乱を如何にして最小限に留めるか、ということを念頭に置いて対策を講じてきたはずだから、アフガニスタンの大統領が早々に国外脱出し、首都カブールの制圧も特段の流血騒ぎなく行われたのだろう。

それなりの事前工作があったはずだと思っている。

国際社会の監視の下、整然と政権移行が行われ、特段の犠牲なく速やかな治安回復が行われることを祈念している。

わが国としては何よりも在留邦人の保護を優先しなければならない。

菅内閣にとっては新たな難問の発生であるが、国民の安全を守るというその重大な責任を最後まで果たしていただきたい。

聡明だと思われていたアメリカの政治家も、こういう見込み違いをやってしまうんですね

アメリカ軍のアフガニスタンからの撤退自体は間違いではなかっただろうと思うが、それにしても大変な見込み違いをしていただろうことは間違いない。

いずれこういうことになってしまった原因なり要因が明らかにされるだろうが、アメリカの出口戦略の拙劣さが際立ってしまった。

多分トランプ前大統領とバイデン大統領の間の意思疎通が出来ておらず、トランプ前大統領からバイデン大統領への政権引き継ぎなども実質的に行われておらず、アメリカの重要政策の継承にあちらこちらで空白が生じていたのだろう。

その掌にある者にしか分からないことではあるが、もっと上手くやる方法があったはずである。

アフガニスタンのガニ大統領が流血の惨事を避けるために無血開城と国外脱出を選んだのは、結果的によかったのではないか。

アメリカとしては、もう少し時間を稼ぎたかったはずである。

周到なインテリジェンス機能があり、十分な軍事力を備えているアメリカでさえこういう失態を犯してしまうのだから、国家の運営は実に難しい。

願わくは、アフガニスタンに人権尊重の、多様な政治的背景を持った集団による連合国家のような新しい民主的政府が誕生しますように。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2021年8月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。