「最悪の覚悟」への対策はできているか?

資産運用でも、毎日の生活でも「最善を望みながら、最悪を覚悟する」という言葉を忘れないようにしています。

「最善を望む」というのは、物事をポジティブに捉え、できるだけ良い方向に解釈して、悲観しすぎないようにすることです。

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「事実は1つ、解釈は無限」ですから、自分の見方によって、同じ現実がバラ色にも灰色に見えてしまう。せっかくなら、バラ色の人生にしたいものです。

その一方で、「最悪への覚悟」も必要です。最悪の事態を想定し、それに現実的な対策を打っておくことです。

自分自身の現状を振り返ってみると、最悪の事態が起こった場合の対応ができているのかと問われると、残念ながら決して充分とは言えません。

私のように一人暮らしの場合、自宅で急病で倒れてしまったり、何らかの理由で大きな怪我をした場合、そのまま連絡が取れず、不測の事態に陥る可能性があります。

老人の一人暮らしが問題になっていますが、若い人であっても、このような突発的な病気や怪我のリスクはゼロにはできません。

また、現状の資産運用の状況も、自分以外は誰も知りません。銀行や証券会社の口座だけではなく、国内外の不動産や、暗号資産、会社への出資など様々な投資対象があります。逆に、金融機関からの借入も、それなりの額になっています。自分の頭の中にしか入っていない情報もあります。

今後、日本ではおひとりさまの高齢者が更に増えていきます。私と同じことを考え、先手を打って対応しておきたいと思う人も増えるはずです。

健康には気をつけて生活をしても、リスクを自分で完全にコントロールすることはできません。

平時のうちに、最悪の事態が起こった場合に、後悔しない準備をしておく。

平和な日本でも、自分自身の有事がいつ起こるかはわかりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年8月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。