やっと動き始めた「病床確保要請」に医師の大反発

アゴラ編集部

田村厚労相と小池東京都知事が会談し、都内の医療機関に「コロナ病床を確保してほしい」という協力要請を出しました。

今年2月に感染症法が改正され、「厚生労働大臣及び都道府県知事は、当該協力を求められた者が、正当な理由がなく当該協力の求めに応じなかったときは、同項に定める措置の実施に協力するよう勧告することができる」(第16条)という規定が設けられました。勧告の罰則は、従わなかった病院名を公表するだけです。

このとき同時に新型インフル特措法の改正で、飲食店などに対しては「当該要請に係る措置を講ずべきことを命ずることができる」(第45条)という規定が設けられました。飲食店についてはグローバルダイニングなどに罰金(過料)がかけられましたが、病院については、勧告の前段階の「要請」さえしていなかったのです。

しかし1病床あたり1950万円も補助金をもらった東京都の6000のコロナ病床のうち、2000以上があいており、人手不足などを理由に患者を拒否する病院があるという日経新聞のスクープで、ようやく行政も実態調査に動き出しました。

今回初めて「要請」することを決めたのですが、それに従わなかった場合の勧告も、病院名の公表もしません。この腰の引けた対応は、医師会の強い政治力に遠慮しているのでしょう。これに対して「よくやった」という声もあります。

しかし現場の医師からは反発の声が上がっています。

このおかげかどうかわかりませんが、3800人ぐらいで頭打ちになっていた東京都のコロナ入院患者数が、きのう4034人になりました。

ほとんどの医師はまじめにやっていると思いますが、中には補助金だけもらって患者を拒否していた病院もあるようです。また人も設備もあるのに、風評被害をいやがってコロナ患者を受け入れない病院も多い。飲食店ばかりいじめないで、病院も社会的使命を果たしてほしいものです。