8月24日、国民民主党は、デルタ株の感染拡大を受けた『新「コロナ三策」』
をまとめましたが、学校にも感染が広がる中、新学期が始まることから、伊藤たかえ副代表(子ども・子育て・若者政策調査会長)に指示して、子ども向けのコロナ対策、「子どもコロナ三策」を取りまとめました。あわせて政府に申し入れたいと思います。
デルタ株から子どもたちの暮らしと学びを守る「子どもコロナ三策」
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、子どもの感染も増えている。全国で感染が確認された人のうち10代以下は1ヶ月前の6倍にのぼり、現在、東京都内の新規感染者のおよそ6人に1人は10代以下となっている。千葉県では学習塾で小中学生など計72名のクラスターが発生したほか、全面休園の保育所は8月19日現在、10都道府県165カ所と、1ヶ月で約4倍に増加(厚労省発表)など、従来の「子どもはコロナに感染しにくい」との認識が、α株やデルタ株においては覆されていることや、集団生活が避けられない子から親への「逆流感染」「ループ感染」など家族内感染の深刻さは既に指摘されているところである。
保育所の休園はさらに増える可能性があるだけでなく、新学期を迎える(既に迎えている)小中高ではデルタ株の強い感染力が(特にワクチンを打てない12歳未満に)影響を及ぼすのではないかと懸念されている。
昨年4月の一斉休校のような、子どもたちや子育て世帯を混乱に陥れるような政治判断をしないためにも、感染拡大防止と子ども達の学びの継続との両立を図っていく上で必要な措置を提案する。
第一策 検査の拡充(見つける)
1 家庭で出来る「自宅無料検査」の実施
PCR検査や抗原検査の簡易キットを保育所や幼稚園、小中学校に配付するのみに留まらず、家庭内において、いつでも検査、その場で結果が出る抗原検査を活用し、治療及び隔離すべき感染者を早期に発見する「自宅無料検査」を速やかに実現する。
また検体からの感染の危険性もある臨床検査を、ただでさえ負荷の大きい保育・教育の現場に任せるよりも、「無料検査ステーション」の開設など、検査を「いつでもどこでも誰でも簡単に無料で受けられる体制」を国が構築すべきである。
2 発熱外来への小児科医の配置と子どもコロナ発熱相談センターの設置
子どもは発熱しやすく、症状を正確に訴えられない、特にケアすべき存在にも関わらず、重症化の心配はないからと政策的手当ては後回しにされてきた。
発熱外来への小児科医の配置を検討すると共に、我が子がコロナではないかと不安に陥る保護者の疑問や、ひとり親家庭など、自分が陽性になった場合の子どもの居場所の相談等にも答えられる窓口の設置は急務である。
第二策 感染拡大の防止(抑える)
1 東京パラリンピック「学校連携観戦プログラム」の中止
6月の参議院文科委員会で萩生田文科大臣は「無観客なら学校観戦もなし」と断言したにもかかわらず、「学校連携観戦プログラム」は実施が予定されている。速やかに中止すべきである。
現状、子ども達にもしもの事があった場合の責任の所在も明らかにされていないばかりか、引率教員や保護者への説明もされないまま「保護者の判断」との報道に触れ、子育て世帯は困惑している。その負担と不安のみならず「修学旅行や課外授業は中止なのに何故パラリンピックはOKなのか?」の子どもの問いに答えられない。こうした施策は、子どもへの教育効果を謳うのであれば尚更、中止すべきである。
2 12歳未満のワクチン接種に関する検討の開始
昨年より米ファイザーで11歳以下の治験が実施され、FDAからは12歳未満の子どもに対するワクチンの緊急使用許可を今冬半ば頃に出すとの見通しが示されたことを鑑み、諸外国における治験の結果や副反応の情報収集と開示、日本国内専門家の意見聴取や国民的議論の喚起など、これまでの後手にまわった場当たり的な対応を反省し、必要な議論を速やかに開始すること。
3 妊婦と子どもに日常的に接する職業従事者へのワクチン優先接種
子ども達を守るためには周囲の大人がワクチンを打つことも重要である。接種を希望する保育士や教職員のみならず、スクールサポートスタッフなど学校内に勤務する大人や、学童支援員をはじめ、学童内にいる大人、ベビーシッターや塾講師、部活指導員などのワクチン優先接種を加速する。
4 コロナ小児拠点の設置
コロナ診察担当者がガウン姿でゴーグルをして現れる現状は、子どもにとっては恐怖である。メンタルケアのために抱っこしようにも、医療従事者にとってそれは感染リスクになるため子どもの軽症対応は特に難しい。「兵庫県立こども病院(神戸市)の子ども専用コロナ病床」等の知見を活用し、全国の学校区ごとに、発熱の際には保育園や学校、地域や家庭と連携して、子どものコロナ患者(特に基礎疾患のある子ども)の受診から入院までの受け入れが叶う体制を早期に構築する。
5 子どもに寄り添う保護者の支援
子どもが濃厚接触者に認定された場合、またコロナ感染した場合は特に発症後10日間+待機14日間など、保護者の休業は長期化せざるを得ない。「両立支援等助成金・育児休業等支援コース・新型コロナウイルス感染症対応特例」の1事業主10人までの上限を撤廃し、事業主申請ではなく個人申請を可能にすると共に、看護休暇については小学校就学前ではなく小学校就学迄とし、1人に付年間5日の上限を大幅に拡大する。
6 お腹の中にいる子どもも守る
千葉県柏市で起きたコロナ感染妊婦の入院受け入れ拒否による新生児死亡という痛ましい事件を二度と起こさないために、妊婦とその同居家族のワクチン優先接種を実施するとともに、感染した妊婦の緊急搬送システムと入院措置、宿泊療養体制の整備を早期に行う。
第三策 学びとの両立(動かす)
1 学びを止める場合の基準の策定
子どもや教職員に感染者が出た場合に備えて、臨時休校や学級閉鎖、分散登校などを行う基準をつくる。地方自治を尊重しつつも、対応に大きなばらつきが出ないよう対応指針(ガイドライン)を示す。
2 テクノロジーの活用
乳幼児は何でも触って口に持っていく、くっつき合って声を出して遊ぶため、感染を防ぐことが難しい。感染者が出た場合、ひっ迫する保健所の対応を待つことなく、保育園や幼稚園で濃厚接触者を特定できるよう、ビデオカメラやサーモグラフィー(温度探知機)等の設置に係る費用を助成する。
小・中・高校・特別支援学校等におけるオンライン授業についても自治体による対応格差が顕著なため、国が責任を持って支援体制を整える。(既に文科省が認めている感染症予防のための欠席について柔軟な対応が認められている旨も再広報する。)
また、オンラインでの読み聞かせボランティアが著作権法違反になる等、コロナ禍で明らかになった課題についても速やかに対応し解決をはかる。
3 保育園や学童が閉鎖した際の近隣受け入れネットワークの構築
保育園や学童が閉鎖した際の近隣施設への一時的入所や、学校閉鎖の際の学童の午前中開所など、家庭保育以外の選択肢をあらかじめ構築しておく。
4 コロナ世代の子ども達を長期で見守る
一斉休校による学びの空白や、部活動や課外活動の相次ぐ中止、1年半以上に及ぶマスク学校生活による子ども達の心身への影響を経年にわたって調査し対策を講じると共に、相手の感情を理解したり、共感したり、言語の獲得をしたりするのに直接的に影響する「脳の感受性期」の子ども達に、あらゆる他者の動く表情に触れさせる環境を保障するため、表情の見える透明マスクを保育や教育現場に配布する。
5 コロナ差別に関する教育
新型コロナウイルス感染症に係る偏見や差別、誹謗中傷を生まないための学習指導や声がけを子どものみならず、保護者に対しても実施、強化していく。
以上
編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2021年8月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。