現在の日本のコロナ致死率はG20で最低です!が

[前回記事]では日本のコロナ致死率が英国並みに低下して推移していることを示しましたが、現在の日本はG20で最低のコロナ致死率、つまり大国の中では世界一コロナ致死率が低いと言えます。

こちらは、[Our World in Data]のG20各国のコロナ致死率(=死亡者数/10日前の新規感染者数)を示したものです。

図1 G20各国のコロナ感染による致死率の推移(=死亡者数/10日前の新規感染者数)

日本のコロナ致死率がG20の中で頭一つ抜けて低いことがわかります。コロナ致死率はワクチン接種前には、どの国も1~3%程度であったため、日本のコロナ致死率が最も低いということは、現在の日本のコロナ医療体制は世界の大国の中で最も人命を助けていると言えます。

多くの日本国民は、日本政府を助けられる命を助けない極悪人のように罵っていますが、これはワイドショーの扇動に完全にツられているだけです。もし違うというのでれば、すべての大国の政権は日本政府以上に残忍な極悪人ということになります。本当に不幸なことに、多くの日本国民はワイドショーという日本の電波を独占使用してゼロコロナを布教するカルトに洗脳されているのです。

日本の実効再生産数(発表値)は五輪の1週間後から急減し、8月28日現在で1.018とほぼ1に近くなっています。

図3 日本の新型コロナ感染状況と実効再生産数(発表値)

また第5波のエピセンターとなった東京都の実効再生産数は既に0.885まで低下しています。

図4 東京都の新型コロナ感染状況と実効再生産数(発表値)

新規陽性者数の7日移動平均も5000人に届くことはありませんでした。ちなみに昨春に42万人死亡を予測した西浦博氏は、今回も実効再生産数が既に1.7から1.2まで低下した段階において、1.7が継続するという驚天動地の想定で、8月末に東京都の新規陽性者数が4万人になると予測していました。ワイドショーはこの非科学的預言を無批判に肯定して国民に恐怖を与えたのです。

さて、上記の Our World in Data の致死率は、死亡者数(報告ベース)を10日前の新規陽性者数(報告ベース)で割ることで算出していますが、現在進行中の日本の第5波と英国の第4波の場合には、新規陽性者数死亡者数の間に16日程度のタイムラグがあります。そこで、死亡者数(報告ベース)を16日前の新規陽性者数(報告ベース)で割ることで致死率を算出してプロットしたものが次の図です。

図5 日本のコロナ陽性者と死者との関係

日本の第5波の致死率は、第1波~第4波のそれと比較して劇的に改善しました。これは、ワクチン接種によって高齢者の致死率が劇的に改善したことによります。高齢者からファイザー&モデルナ製のワクチン接種を極めて短期間に進めた菅政権のワクチン接種政策は世界的にも大成功を収めたと言えるでしょう。既に日本の2回目接種率は欧米とほぼ同レベルになりました。

図6 各国のワクチン2回目接種率

『羽鳥慎一モーニングショー』の玉川徹氏は、7月8日に米メジャーリーグの映像を見て「誰もマスクしてないし、大盛り上がりじゃないですか。これがワクチン接種が進んだ国(米国)とワクチン接種が進まなくて観客をオリンピックにいれないって言ってる国(日本)の違いだ」と吐き捨てました。現在、日本のワクチン2回目接種数はその時の米国の接種状況を超えています。しかしながら、玉川氏は相変わらず8月27日の放送でも「コロナを防ぐ方法としては、人と会わないことかワクチンを打つしかない」とせっせと自粛を呼び掛けていました(笑)。本当に無責任なコメンテーターとしか言いようがありません。

さて、このような状況において、少し好ましくないデータがここ2~3日の東京で認められます。それはここに来てやや致死率が上昇を始めたことです。

図7 東京のコロナ陽性者と死者との関係

一過性のものであればよいのですが、実際に欧米各国でもここにきて致死率の上昇が認めらえます。

図8 各国の致死率の推移

現在、致死率がやや減少傾向を示しているのは、8月初旬からブースター接種を始めたイスラエルだけです。

図9 イスラエルのワクチン接種率の推移

なお、3月~7月にかけてのイスラエルの致死率の急上昇はあまり参考にはなりません。新規陽性者数が極端に少なかったため、少数のハイリスクな感染者(例えば、未接種の高齢者)の死亡が致死率に大きな影響を与えた可能性があります。

 

図10 イスラエルの新規陽性者数

国民にとって重要なのは、政府分科会の尾身茂会長が言うような反証不可能な「気の緩み」を抑えることではありません。仮に、尾身茂会長が言うように五輪で国民の気が緩んだいたと仮定しても、五輪が始まった1週間後から現在まで、実効再生産数(報告ベース)は増加するどころか激減しました。データを読めない情報弱者は、陽性者数の増加のみを根拠に五輪で感染爆発したかのように誤解釈しますが、五輪期間中において「感染しやすさ」を表す実効再生産数は最初から最後まで減少したのです。今回のピークアウトもこれまでと同じ自然減少に他なりません。尾身会長から「人流を50%減」の指令が出た時には、既に東京都の実効再生産数は1を下回っていました。

今後注目すべきは、日米欧の致死率の増加状況およびイスラエルの致死率の改善状況です。この状況如何では、ブースター接種の冬前の実施を「検討」しておくことが必要であると考える次第です。

もちろん、感染力が高まり致死率が大幅に減少した現在、保健所を通さないコロナの治療体制の構築が大前提となることは当然です。国民にできることは、国民に行動制限のみ要求して具体的な医療体制の拡充から国民の目を背けさせてきた分科会と医師会を批判し、分科会と医師会を批判することなく偶像化して無意味な政府批判だけ繰り返してきたメディアに対して三下り半をつけることです。政府を動かして医師会の利権構造を破壊するには国民の世論形成が何よりも大切です。


編集部より:この記事は「マスメディア報道のメソドロジー」2021年8月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はマスメディア報道のメソドロジーをご覧ください。